連日の山仕事で可なり体力を消耗してしまった。そして今朝は靄がかかって梅雨時のような天候である。それでハッと思いついて骨休めに高速料金の土日1,000円を利用して富山までドライブする事にした。富山はサラリーマン時代、転勤で3年間過ごした場所である。そして当時住んでいたO町のお隣さん(Hさん)とは今も年賀状のやりとりをしていた。
Hさん宅に顔を出す前に、街外れにある「銀鱗」という海鮮料理屋に入る。店のど真ん中の大きな生簀に鯛や平目やカンパチなどが泳いでいて、こんな魚を見ながらグルリと生簀を囲んだカウンターに座って刺身などを食べるのである。
それからO町に行ってHさんを訪ねた。突然の訪問に奥様は目を丸くし、みるみる涙ぐんでしまわれた。2年前にご主人を亡くされ、今は一人暮らしである。部屋に上がってゆっくりして欲しいと再三促されたが、少し体調を崩されているご様子でもあり玄関先で失礼させてもらった。
そして3年間暮らしていた我家だった家を外から再度ゆっくり眺め、近くを流れる「いたち川」の畔を歩いた。この川は宮本輝の小説「蛍川」の舞台であり、小説同様に住んでいた当時は川縁に蛍が乱舞していた。会社の幹部社員として富山に赴任し、仕事に行き詰ってはこの清冽な「いたち川」の河畔を歩いて気持ちを奮い立たせた。そんな当時を思い出して、やっぱり胸が詰り泣けてくるのである。
再び北陸自動車道に車を乗り入れて、途中日本海が眼下に広がる米山サービスエリアで休んだ。
19時5分、ちょうど夕陽が海に沈む時刻で、その息を呑むような落日に夢中でカメラのシャッターを切った。
「森のパンセ」に<日本海残照>をアップしています。
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