8月最終日、政権交代の是非をかけた衆院選も大差で決着して、台風接近による嵐の前のシトシト雨が朝から続いている。
<さまざまなこと思い出す 桜かな>という芭蕉の春の句があるが、さしずめ8月は、私にとって<さまざまなこと思い出す 葉月かな>と思い入れの深い特別な月である。学校の夏休みで真っ黒になるまで遊んだガキの頃の楽しい思い出があり、長岡まつりやお盆を家族と一緒に過ごした懐かしい記憶や、それに自分の誕生日も終戦の年の8月である。この年になっても、いまだに胸がしめつけられるような郷愁やわくわく感を8月という月が運んでくれるのは、全く不思議でしかたがない。
そして8月という月が来ると、過去の戦争に関するさまざまな行事などがあり、やはり静に考えさせられる。
おやじ山から帰途についた今月22日、運転しながらラジオを聞いていると8月16日かに放送されたという秋山ちえ子氏出演の再放送番組が流れてきた。それはラジオパーソナリティの女史が「もう二度と戦争を起こしてはならない」というメッセージを込めて40年以上も毎年8月15日に朗読を続けているという「かわいそうなぞう」という童話の朗読だった。5分30秒という短い朗読だったが、戦争という行為が、見物の子ども達や動物園の飼育係の人達にとても可愛がられていた3頭の像をも殺させてしまうという実話を題材とした物語で、思わず車を道脇停めて涙を拭いた。
そんな刺激があったせいか、おやじ山から帰って「NHKオンデマンド」で過去に放映された3つの番組を視聴した。
1つはやはり「かわいそうなぞう」と同じ題材の1982年放送、NHK特集「そしてトンキーもしんだ」(太平洋戦争の昭和18年8月〜9月、「空襲激化で飼育動物が遁走することから住民を保護するため」として上野動物園でジョン、ワンリー、トンキーの3頭の像が絶食で処分された物語)、2本目が、やはりNHK特集で1996年放送の「赤紙が来た村」(旧富山県東砺波郡庄下村という人口1200人の小さな農村で、246枚の赤紙で召集された村人の運命と、当時の陸軍の軍人動員システムを紹介し日本が戦争へと突き進んで行った歴史のドキュメンタリー)、そして今日の午前中、3本目の1998年放送の「原爆投下 10秒の衝撃」を視聴した。(インドとパキスタンが核実験を強行した1998年、日米の科学者が広島に集まり、昭和20年8月6日に広島に投下された原子爆弾の恐るべき破壊力を検証したドキュメンタリー。僅か10秒で広島全市が壊滅したが、原爆炸裂前0〜100万分の1秒の間に飛散した多量の放射線の脅威、次いで100万分の1秒〜3秒の間の原爆炸裂による太陽の表面温度の70倍近い40万度という火球の威力、そして最後の3〜10秒までの間の物凄いスピードと圧力の衝撃波の威力を、3段階のプロセスで検証)
さて、台風11号はどこまで接近したのだろう?そして台風一過はすっきりとした秋晴れが訪れるのだろうか・・・さらば8月である。
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