久々に東京の上野公園に行き、国立科学博物館で開催中の「菌類のふしぎ」という特別展を観た。昨年秋山暮らしをしていた時、たまたま長岡市内のきのこ鑑定会で知り合ったA女史から「東京でこういうのやってるから観に行ったら?」とチラシを渡されて知った催しである。
実は昨年末、長岡のきのこ名人Sさんから<長岡きのこ同好会会報「あまんだれ第5号」>(「あまんだれ」とはキノコのナラタケの地方名です)という印刷物が郵送されて来て、その立派な内容にすっかり感心して「俺も参加させて下さい」とすぐ入会手続をとった。それで「きのこ会員になったからにはちょっとは勉強しないと・・・」とA女史からのチラシを思い出して上野の森に出掛けた次第である。
会場は科学博物館の地下1階にある特別展示室である。マンガ「もやしもん」のキャラクターに出迎えられて中に入ると、意外や若い女性達で賑わっている。菌類でカビやキノコと言えば何となくジメジメと暗いイメージなので、まあオタクっぽい老人達だけが会場内をヨロヨロふらふらと彷徨っていると思ったが、とんでもなかった。大学や専門学校の女生徒達であろうか、実物を樹脂で固めたキノコの標本を見ながら「わ〜かわいい!」と歓声を上げている。彼女達にとっては見た目が良ければ「このキノコ、かわいくて食べられるわよね!」と食毒判定も容姿一辺倒の大胆さである。高級茸マツタケなどは標本が樹脂で固められてまるでマンネンタケのようにふてぶてしく黒光りしているせいで彼女達には歯牙にもかけられない惨めさである。私がじ〜と目を凝らして1つ1つ標本を見ながらおやじ山に生えてるキノコを静かに思い出しつつ牛歩しているすぐ後ろで彼女達がうるさく騒ぐので、途中で「あの〜、お先に行ってくれません?」と頼んだほどである。
「もやしもん劇場」ではマンガに登場する菌キャラが壁にたくさん貼り付けてあって、ここでも女生徒が賑やかに記念撮影などをしていた。知らなかったが「もやしもん」とは大変な人気なのである。
展示会場の入り口では生物の二界説や五界説の小難しいパネルがあってギョッとさせられたが、進むにつれて「もやしもん」の菌キャラがあり、光るキノコがあり、最後はきのこと森の関係をわかりやすく説明したコーナーなどがあって、とても面白く勉強にもなった。
せっかく1,300円も払って入ったので地球館や日本館の常設展示も観て回った。あれがありこれがありと、最後はぐったり草臥れて博物館をよろけ出た。
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