フキノトウ  蕗の塔  (キク科)

何と言っても早春の象徴的な植物である。正式種名は「フキ」であるが敬意を表して「フキノトウ」
と独立名で載せた。おやじ小屋のすぐ西側の斜面で、雪が消えたところからみずみずしい黄色のフ
キノトウが顔を出す。 
「よくまあこの寒いのに、ご苦労さん!」と言いながらも手でもぎって、夕飯の味噌汁の具にする。










 さらに一言
フキは雌雄異株。淡緑色の苞に包まれた若い花茎がフキノトウである。雄株の頭花は黄色っぽく結実しない。雌株の頭花は白っぽい。
ほろ苦い早春の味として親しまれているが、昔は咳止めや去痰などの民間薬として利用されたという。

なお今は亡き文豪、開高健は山菜の味覚について次のように書いている。


『物にはおびただしい味、その輝きと翳があるが、もし”気品”ということになれば、それは”ホロ苦さ”ではないだろうか。 山菜のホロにがさには”気品”としかいいようのない一種の清浄がある。この味は心を澄ませてくれるがかたくなにはしない。ひきしめてくれるがたかぶらせはしない。ひとくちごとに血の濁りが消ていきそうに思えてくる。』


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