ショウジョウバカマ  猩猩袴  (ユリ科)

雪解け後にすぐ咲く花である。
おやじ山の南斜面の雪が解け出すと、決まってこの雪の下からショウジョウバカマが顔を見せる。
葉は常緑で、積雪の重みに耐えて薄汚れているが、そこに一輪カンザシのような清純な花を咲か
せるのである。




さらに一言
方言:カンザシバナ
カンザシは、もちろん昔の女性が飾りで髪に挿す簪である。
郷里長岡では、「ティッティッポッポッの花」「アメフリグサ」などとも呼んでいる。
和名の猩猩袴は、花の赤紫を猩猩の赤い顔に、広がった根生葉を袴に見立てての命名と言われる。
猩猩とはボルネオなどに住むオランウータンのことであり、中国では酒が好きな伝説上の動物のことである。

この花を見て、どんなイマジネーションの大飛躍でこのような名前を付けたのかと首を捻るばかりである。この命名者に絵を描かせたら、かの葛飾北斎をも凌いだかも知れない。

晩秋から早春にかけて、葉が猩々色(黒味を帯びた深紅色)に紅葉するが、葉先がえさの乏しい冬期のノウサギに齧られていたりする。