<<前のページ|次のページ>>
最後のページは<7月3日>です。

2011年7月3日(日)曇り
八ヶ岳の夏
 全く、こんなに楽しく、素晴らしい仲間が自分の周りにいることにつくづく感謝し、「俺は何と幸せ者か」と思ってしまう。
 おやじ山に来て下さった森林インストラクターの皆さんが、おやじ山で昨年、一昨年の秋と採取した果実酒を抱えて、Oさんの八ヶ岳山荘に集まった。名付けて「ガマズミ品評会」である。

 TさんとKさんは、美しくピンク色に染まった見事な本格ガマズミ酒を持参し、今回の提唱者のSさんは、既に自作のガマズミ酒を度重なる「味見」で呑み尽くしてしまい、代わりにレモン酒を出品し、Nさん、Uさんは素晴らしい越後の銘酒を持って来て下さった。さらにOさんの山荘には、長年溜めに溜め込んだありとあらゆる八ヶ岳産果実酒がずらり並んでいて、これらのビン類をテーブルに林立させただけで既に悪酔いしそうだった。

 先月27日に再びおやじ山に入り、29日には2回目の地元小学生の子ども達の授業をさせて貰った。おやじ山に長期滞在中だった1回目の授業は、校庭にある学校林の中での野外授業で、生き生きと活発な子ども達に目を瞠ってしまったが、2回目の授業は、この1回目の野外授業後の子ども達のデスカッションを受けて、何と!テーマが『森の自然を大切にするためには、自然のままにしておいた方がよいのか、人が手を入れた方がよいのか』と、森のプロでも頭を抱える問題である。おまけに授業参観で他の先生方が7名もビデオカメラ持参で来られて、最初は全くどうなることかと緊張してしまった。
 しかし俺にとっては実に楽しい授業だった。子ども達も随分喜んでくれたようで、「こんな楽しい授業、またやってみたい!」とすっかりハマってしまった。

 そして翌30日には山を下って藤沢の自宅に帰って来たが、楽しみにしていたおやじ小屋の谷川のホタルは、連日大雨洪水注意報が出される程の雨の降り方で、残念ながら見ることができなかった。

 そして中1日おいて、昨日からの八ヶ岳旅行である。俺にとってはおやじ山を訪問してくれた仲間達が、長期間の山暮らし生活の自分たちへの慰労会のようにも思えて、本当に有難かった。
 
 昨2日の午前中にOさん山荘に着いて、もう昼前から、庭のピザ窯で焼いた本格ピザを頬張りながら、「赤だ白だ。ボルドーだシャブリだ」と、Oさん秘蔵のワインを呑み始めた。そして夜の宴会本番を前に、酔い覚ましの温泉に浸かってから、いよいよ「品評会」が始まった。

 Oさんが腕によりをかけて作った<バーニャカウダ>と盛りだくさんの生野菜、そして絶品の自作生ハムを頬張りながら、次々とグラスに注がれる「出品作」を呑み続けた。「フムフム・・・?これは・・・」と、テイスティング用の水もそぞろにガブ呑みしているうちに、品評する間もなく体がすっかり崩れて(溶けて?)しまった。
 ここでSさんがかねてから主張していた、「森の食文化研究会」の正式発足の緊急動議が提案された。もう皆んなべろべろの域に達していたから思考力も何も無くなって、一も二もなく賛成である。気もでかくなっていたので、さっそく「会報第1号」を発行する補強案もなんなく可決されて、大いに盛り上がった。

 そして今日の朝食も豪華だった。朝からUさん持参の越後の銘酒「雪中梅」が、あっと言う間に空になってしまった。

 午前中は、朝酒を我慢してくれたNさん運転の車に皆乗り込んで、三分一湧水を見学し、美し森の展望台まで登りながら植物観察会である。真夏日ほどの日射しだったが高原の涼風を受けながら、サラサドウダンを仰ぎ見、ノイバラの香りを嗅ぎ、クリンソウに目を細めながら笑って過ごした実に楽しい時間だった。

 ニコニコ顔のOさんに見送られて山荘を後にした。帰ったらまた例年仕事を続けさせて貰っている「森林調査」のアルバイトが待っている筈だった。