昨夜の10時に東京竹芝桟橋を出航した「かめりあ丸」が朝6時に大島に着いた後、目的地の利島を通り越してしまった。4mの波で接岸できないのだという。2等船室のDデッキから甲板まで上がって出てみると凄い風と波で、三角形の利島が白波を被って遠のいて行く。それで次の式根島もパスして8時半に新島に着岸した。
今回の利島での植生調査のメンバーは合計4人で、3名はバリバリの専門員で私は補助員としての参加である。その4人が新島で下船し、漁船をチャーターして利島に渡ることにした。こんな荒海を果たして小さな漁船で乗り切れるのだろうか?
これから10日以上滞在するそれぞれの大きな荷物をゆらゆら上下動する漁船の船長に受取ってもらい、船に飛び乗って急いで船室に潜り込む。東海汽船で既に船酔いしたというMさんは早速ビニール袋を手に握り締めている。
それからおよそ1時間の航海は悲惨そのものだった。あぐらをかいた尻が50pも飛び上がってはドスンと船底に落下して腹にズシリと響くのである。その度に「オォ〜!オォ〜!」と声を上げていたMさんを笑っていたTさんも、途中からMさんと一緒に悲鳴に近い声を上げたほどである。
荒波に翻弄された漁船も無事利島の漁港に着岸した。岸壁に上がったMさんに、「酔いませんでしたか?」と聞くと、「こんなに揺れると怖くて酔って吐く暇などありませんでした」と真顔で答えていた。
一年前の調査でも滞在した民宿「しんき」に荷物を下して、早速仕事開始である。車で島内の何箇所かを回ったが、夕方ウグイスの初鳴きを聴いた。
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