今日は節分、そして明日はもう立春である。「おやじ山の雪はどうかな?今年の冬は小屋は大丈夫かな?」などとウジウジ気をもんでるうちに、暦の上では春が立ってしまうという。
それで突然、真冬のおやじ山に行ってみたくなった。真っ白な雪の世界にどっぷりと一人で浸かりたくなった。しばらく居た娑婆の垢を雪に晒し、年末年始と続いた深酒の血の濁りを、清冽なおやじ山の空気で漱ぎたくなった。今夜の豆まきを済ませ、明日早朝発つ予定である。
ふっとガキの頃の豆まきを思い出した。長岡の国鉄官舎に住んでいた小学校の頃の思い出である。
日が暮れると、まさにむこう三軒両隣から「おにわ~そと!ふくわ~うち!」の声が聞こえてきて、今まで恥ずかしくて「おにわ~そと」と言っていたのが、俄然、負けじとばかりの大声に変わるのである。家は貧しくて旅行や外食などは夢のまた夢だったが、私の両親はささやかだが、こういうハレの日の行事を必ずやって子どもたちを喜ばせてくれた。当時の今の季節は、家の表も裏も高い雪の壁で、「鬼は~外」と撒いた豆がこの雪壁に潜り込んで、翌朝早起きしてこの豆を雪からほじくり出して食べるのが実に嬉しかった。
さておやじ山の雪はどれ程だろうか?
(明日からしばらく日記を休みます)
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