2009年11月17日(火)曇り |
おやじ山の秋2009(プロローグ) |
一昨日の夜、藤沢に帰ってきた。45日ぶりの自宅である。
13日にはおやじ小屋の雪囲いを済ませたが、15日の午前中、小屋に別れを告げるために再度山に入った。ぼうぼうと山に強風が吹き荒れて、朱や黄色に色付いた木々の葉っぱが空に千切れ舞っていた。まるでおやじ山が秋の季節のフィナーレを精一杯演じてくれているような、そんな気分にもさせてくれた。そしておやじ山は、冬の季節へとバトンタッチである。
今回もおやじ山ではいろいろな事があり、おっと目を見張る新たな発見もあった。そんな事どもを少しずつ書いてアップしていきたいと思っています。
「10月日記」に<おやじ山の秋2009>(10月2日〜10月31日))を掲載してます。
|
|
|
|
おやじ山の秋2009 ー10月日記から続くー
2009年11月1日(日)曇り |
おやじ山の秋2009(Oさん達の来訪と薪割り) |
今朝、東京と神奈川からOさん、Tさんがやってきた。Oさんの車が下の駐車場に着いたのは、午前2時半である。深夜に車の気配がして、懐中電灯を持って駐車場に降りて行くとやっぱりOさん達で、着いた途端にシートを倒して寝入ったらしく、「コンコン」と窓ガラスを叩いてもすっかり反応が無くなっていた。
午前5時過ぎのまだ夜明け前の暗闇の中で、Wさんがパチパチと焚き火をしていた。それから間もなくOさんとTさんが「おはようございま〜す」と元気にテント場に上がって来た。「車を出たら、あそこで焚き火をしている人が走ってきて俺達に挨拶するんで、ビックリしたなあ〜」と笑っている。昨晩Wさんに今日着くOさん達のことを話していて、早速Wさんの歓迎の挨拶を受けたらしい。
朝食を摂ってから、Oさん達も一緒に焚き木を積み込むというWさんの車に乗っておやじ小屋に向かった。小屋に着いて早速チェーンソーで杉丸太の何本かを玉伐りしてOさんに斧で薪割してもらった。Oさんの薪割の腕は一級品で、ポンポンと小気味良く割れていく。傍で見ていたWさんが、薪が割れるたびに「スバラシイ!」「オ〜ッ、スバラシイ!」といちいち声を上げるので笑ってしまった。(Wさん、昨日は一日中「シビレ」ていたけど、この人は一度口を突いて出た言葉を無限に繰り返す癖があるようである)
見晴らし広場に停めたWさんの車にネコ車で2往復して10束ほどの薪を積み込み、11時過ぎに山を下りた。
そして昼食を摂ってから皆で近くの天然温泉「麻生の湯」に浸かりに行った。「政権交代したからには、ここの温泉も<鳩山の湯>に名称変更しないとダメだなあ」とTさんが駄洒落を言っている。
何やら不穏な天気になって昼の生温かい風が急に寒くなった。0さん達が運んで来たクーラーの中には立派なマグロ刺しやウニ、甘エビと高級食材が入っていて、天候を気にしながらも早めの豪華な夕食となった。
夜になって、激しい風雨となった。
|
|
|
|
2009年11月2日(月)雨 |
おやじ山の秋2009(冬の到来) |
一晩中、雨が降り続いていた。今日の長岡の最高気温は10℃の予報で、北海道と東北地方では12月の気温だとラジオが報じていた。
朝、テントを這い出ると、キャンプ場は雨に濡れた紅葉が一面に敷き詰められている。11月に入った途端、一気に冬の季節の到来である。
今日は山に入っても仕方がないので、Oさん達と寺泊の魚市場でも見てくることにした。途中高野町で木工房を営むNさんのお店に寄って、マルバマンサクの丸太2本の輪切りを依頼した。この夏、山道の整備で切り倒したマンサクの木で何か有効利用する手立てはないものかと考えついたのが、コースター作りである。幸いNさんは店に居て、相談がてら頼んでみると、「割れない工夫をしないといけないけど、試しにやってみましょう」と引き受けて下さった。
魚市場で夕食用の刺身を買ってテントに戻り、皆でドームテントに潜り込んだ。外は氷雨が降りしきって、Oさんが買ってきたホカロンを体中に貼り付けての宴会だった。
|
|
|
|
2009年11月3日(火) |
おやじ山の秋2009(初雪) |
|
|
2009年11月4日(水)晴れ |
おやじ山の秋2009(冬の準備) |
明け方、西の空にまん丸の大きな白い月が出ていた。<月は東に、陽は西に・・・>の反対で、気温5度のキリッとした冬晴れの朝である。
11月に入ったら途端に気忙しくなって、朝起きるとあれこれやるべきことが頭をめぐって、今までののんびりぶりとは雲泥の差である。
昨日木工房のNさんから「マンサクの輪切りができました」と電話があって、早速朝受け取りに行った。持ち込んだ丸太2本から9mm幅で96枚カットできたという。びっくりするほど安い労賃とおやじ山のシイタケをお渡しし、マンサクの輪切りを車に積んで工房を後にした。いつものことであるが、Nさんは店の玄関から道路にまで出てきてニコニコと敬礼して見送ってくれた。
帰りはホームセンターに寄って、屋根材を打ち付けるシングル釘一袋、追加の水切り板4枚、植林したブナ苗の雪対策用支柱30本を購入して見晴らし広場まで運んだ。
おやじ小屋に行って早速屋根に登り、覆いのブルーシートを外した。しかし先日のミゾレ雨で、コンパネの隙間からの雨水で随分小屋の中が濡れていた。
今日は一日中屋根の上で作業した。コンパネのデコボコ調整をしたり、煙出しを屋根に上げてコンパネをカットする当たりをとったり、煙出しの屋根を張ったりと、休む暇もなかった。低い小屋の屋根作業だが、こんな所から落ちて動けなくなったら大変だと、結構神経を使うのである。
夜はまたOさんと酒盛りをして、昼の心身疲労もあってか作業着を着たまま昏睡してしまった。 |
|
|
|
2009年11月5日(木)晴れ〜曇り |
おやじ山の秋2009(煙出しから煙が!) |
|
|
2009年11月7日(土)晴れ |
おやじ山の秋2009(立冬、二組の訪問者) |
|
|
2009年11月8日(日)曇り |
おやじ山の秋2009(長岡きのこ同好会とIさんとのお別れ) |
|
|
2009年11月9日(月)曇り |
おやじ山の秋2009(フクロウの家にムササビ!屋根の葺き替え完了) |
午後から天気が崩れるとの予報で、朝5時に起き(真っ暗!)急いで朝食を摂っておやじ小屋に向かった。雨が降る前にアスファルトシングルを張り終えて屋根の葺き替えを完了させる算段である。
おやじ山の入口の坂を降りて小屋に近づき、何の気なしにホオノキに掛けた「フクロウの家」に目をやると、巣箱の穴に何かが詰っている。「変なものが引っ掛ってるなあ〜」と小屋の前のデッキにリュックサックを下してから、振り返ってもう一度巣箱に目をやると、何と毛の生えた動物である! 相手もじっとこちらを見ている風である。いつも持ち歩いている双眼鏡を急いで取り出して覗くと、目だと思っていたのが耳で、実際の小さな目がその下に2つ(当然だけど)黒々と光っている。その真ん中に押し潰されたような低い鼻があって、顔の両脇からやけにハッキリと白いモミアゲのような髯(斑紋だった)が生えている。「これはムササビだ!」と直感した。
山の入口にある太い杉の幹がいつもささくれ立って樹皮が剥がれていて、山に来た友人が「これは熊の仕業だ」と言っていたけど、(本当ならこんな嬉しいことはない)おやじ山に熊など居るわけないので果たして何だろう?と思っていた。その正体がようやく分かった。ホオノキの真下に近づいても逃げない。夜行性の動物だから明るくなると目が良く見えないのだろうか?デジカメで写真を撮ってそっと小屋に戻ったが、これから屋根の登ってシングル屋根材の釘打ちなどしたら、ビックリして巣箱から逃げてしまうと思い、しばらくの時間「さて、どうしたものか?」と思案していた。
それにしてもフクロウに入ってもらいたくて春先にこの巣箱を取り付けたが、最初はカルガモが入り、それからアオダイショウが入り、そして今度はムササビである。巣箱の表に「フクロウの家」と墨書したが、動物たちは家主の気持ちも分からず勝手に移り住んで、全く困ったものである。
「そうだ!友人達にケイタイカメラで写してメールしてやろう!」と小屋に入って携帯電話を持って外に出ると、居なくなっていた。飛び出たのか、巣の中に入ったのか?飛び出たとしたら、グライダーみたいに飛翔する姿を見たかったなあ〜
しばらくボンヤリ巣箱を眺めていたけど、ハッと気を取り直して屋根に登り作業を始めた。「ドンドン」とシングル釘を屋根材に叩きつけて、正午過ぎには全て張り終えた。葺き替えの完成である。
午後にはカミさんも小屋にやって来て、「予想していたよりは、立派にできましたね」と見くびっているのか誉めているのかよく分からない評価である。
そのカミさんがおやじ池の畔でヘビを見つけて大声で私を呼んだ。珍しくマムシである。普通のヘビはもう今の時期は穴に入って出て来ないが、マムシだけはこの寒さでも出ることがある。「早く!早く!、鎌で殺したら!」とせっつくのである。冗談じゃない。怖くて近づくのさえ嫌である。そのうち見えなくなって「あ〜あ・・・」とカミさんは溜め息をついて、「また出るわよ。早く殺せば良かったのに・・・」と俺に向って恐ろしい事を言うのである。屋根の葺き替えの評価も、マムシの一件ですっかり帳消しになってしまった。まあ、こんなものである・・・
夜は、雨になった。
|
|
|
|
2009年11月10日(火)晴れ |
おやじ山の秋2009(三ノ峠山の別れ) |
|
|
2009年11月11日(水)雨 |
おやじ山の秋2009(雨の音) |
大雨が一晩中続いた。そして今日は雨の中、朝早くから下の管理事務所の撤去作業が始まった。大きなクレーン車が来て、小屋ごと吊り上げて荷台に運び上げてしまうのである。
私も雨合羽を着て傘を差しておやじ小屋に向った。途中の山道は雨に打たれて落ちた紅葉が一面に敷き詰められていた。
小屋の中に入ると水滴がポタポタと囲炉裏に落ちている。ランプをかざして煙出しを調べてみると、やはり網を張った所からの雨水で、ここの工夫が一番の課題である。屋根に登ってゴミ袋用のビニールで覆って取りあえずの処置をする。
それから囲炉裏に炭を熾して小屋に置いてあるとっておきのウイスキー<オールドパー>を飲む。しんと静まり返った小屋の中で、外の雨音を聞きながら、小さなキャップに注いだ強い酒をチビリチビリやるのも、実にいいものである。
時折、人の話し声が外から聞こえて来る気がして思わず立ち上がって窓を開けてみる。こんな雨の日に訪ねて来る人などいるはずないのだが、森に降る雨音が人の声に擬音化されてそんな風に聞こえてくるのである。
午後は、刃物研ぎをした。この一年使った鉈や山刀、斧、鎌などの最後の研ぎである。ゆっくりと心を込めて、切れ味を確かめながら研いでいると、シーンと心までも澄んでくるようである。
午後3時過ぎ、山が深いガスで煙っている中を下山した。
|
|
|
|
2009年11月12日(木)曇り |
おやじ山の秋2009(炭焼き) |
|
|
2009年11月13日(金)晴れ |
おやじ山の秋2009(小屋を閉める) |
|
|
2009年11月14日(土)激しい雨 |
おやじ山の秋2009(酒造り体験1日目) |
|
|
2009年11月15日(日)曇り、風強し |
おやじ山の秋2009(酒造り体験2日目、さらばおやじ山) |
|
|