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2006年9月21日(木)晴れ
出発前日

 明日夜藤沢を発っておやじ山に行く。ほぼ1ヶ月ぶりのおやじ山で、今からうきうきしている。
 それにしても前回おやじ山から帰って来てのこの1ヶ月間は結構忙しかった。所属している藤沢グリーンスタッフ会の何回かの会合や、この会が初めてこども達向けに行なった「里山でサバイバル」というイベント(9月17日(日)実施)の手伝いなどがあり、その間に森林インストラクター神奈川の集いの自然観察会への出席や、樹木・環境ネットワーク協会(聚)二宮・竹の里活動に参加(9月9日)するなどした。
 
人間ドックも会社を定年退職してから初めて受診した。今日再検査で胃カメラをゲーゲーいいながら飲んだが、結果は「まあ、異常ありませんね」だった。これで安心して山で酒を飲んで過ごせる。(お金の方がとっても不安だけど・・・) 最近の報道で山でクマに襲われたりスズメバチに襲われて死亡したという事故があったので、今日の検診の帰りにスズメバチ退治のスプレーを買ってきた。この夏おやじ山で草刈りをしていて2回もハチに刺されて少し懲りたせいもある。
 今回の山行きは、キノコ狩りもそうだが第二おやじ小屋造りのささやかなスタートを切るという楽しみもある。頭の中で小屋の構想はできた。後はゆっくり時間(年数か?)をかけて(それに、カミさんとその都度費用捻出の闘争も繰り返しながら)造って行きたいと思っている。

(写真は藤沢グリーンスタッフ会主催イベント「里山でサバイバル」のスナップ)






2006年9月23日(土)晴れ
おやじ山の秋(出発)

 おやじ山への出発の日。午前0時過ぎに同行して下さるSさん夫婦を迎えて藤沢の自宅を出発した。Sさん夫婦は昨年も秋分の日におやじ山に来てくれて皆で豪快な芋煮会をした。そして今回も愛犬ラブラドールのブラッキーとケリーの兄弟犬を連れてのキャンプである。
 深夜の関越道を走り、明け方長岡インターで降りた。途中の小千谷から長岡インターの間には白い朝靄が黄金色の稲田の上に低く這うように靡いていて、実に幻想的な景色だった。

 朝6時に東山ファミリーランドのキャンプ場に到着。逸るような気持ちでそれぞれのテントを張る。ブラッキーとケリーも車の中から解放されてはしゃぎにはしゃいでいる。
 8時にもう一人の客人Oさんが信州から到着した。Sさんはしばらくテントで仮眠、私とカミさんは実家近くのHさんの工場に行き軽トラを借りた。これでおやじ小屋修理のための資材をこれから何回か山に運び上げなければならない。
 昼近くにブラッキーとケリーも連れて皆でおやじ山に向かった。「さて、今年のきのこは?」と山道の脇や斜面を窺うが、何と毒きのこ1本さえも見当たらない。昨年もこの時期おやじ山に来てどっさりきのこを採ったOさんも、林の中に分け入っては「おかしいなあ?」と首を傾げている。まだきのこの時期に早いのか?今年はきのこの生り年ではないのか?いづれにせよ、誠に残念である。
 それで夜は、スーパーに買出しに行って棚に並んだきのこを買ってきのこ汁を作った。おやじ山主としては誠に屈辱である。しかしきのこ鍋の他に牛肉やイカ、野菜などの豪華な炭火焼きを囲んで皆で山の初日を祝った。

(1週間後、おやじ山にきのこがワッと生えた)

2006年9月24日(日)晴れ
おやじ山の秋(最後のミョウガ)

 テントサイトで長岡の街を見下ろしながら皆で朝食。爽やかな秋晴れで絶好の山日和である。Sさんが連れてきた2匹のラブラドール犬はテントの前におとなしく座って羨ましそうにこちらを窺っている。そして朝食が終わり、いざおやじ山に出掛けるときになるとガラリと態度が変わって主人の顔をベロベロ舐めたり尾っぽを千切れるほど振ったりと、はしゃぎにはしゃぎ回るのである。
 おやじ小屋に着いて女性陣は小屋の周りのミョウガ畑で最後のミョウガ採り
に精を出す。今年もおやじ山のミョウガ畑にはパンパンに膨らんだ立派なミョウガがたくさん生えて、そろそろ収穫の終わりの時期である。Oさんはブナ平まできのこ探し、Sさんのご主人と私はドラム缶風呂を置いてある東屋の傾斜をカケヤと杉の丸太のつっかえ棒を使って荒修理をした。
 Sさん夫婦は今日帰ってしまうので11時に小屋を離れて下山し、Sさんのテント撤収後皆で川口の「和楽美の湯」に浸かりに行った。昼食もここで摂って午後3時にSさん達の車を見送った。

2006年9月25日(月)晴れ
おやじ山の秋(おやじ小屋修理資材購入その1)

 午前中にOさんが帰って行った。近々またきのこ採りに戻ってくると言ってOさん自身のテントは張りっ放しである。何となくキャンプ場のこの一角が居付きのホームレス村のような感じになってきた。
 おやじ小屋に行って資材購入のための簡単な測量をし、一度下山してからホームセンターに行ってトタンの波板18枚を購入。今度はキャンプ場にいたカミさんを軽トラに乗せて見晴らし広場まで走り、ここでカミさんと一緒に積荷を下ろした。今日の作業はここまで。
 夜、Hさん宅に出掛けHさん夫婦、Nさん夫婦達と長岡の郷土料理と御酒で楽しいひと時を過ごした。おいしい料理、ご馳走様でした! テントに戻ったのは夜10時ころだっただろうか?

2006年9月26日(火)曇、夕方から雨
おやじ山の秋(きのこの初物)

 昨夜の御酒が残って遅い朝食を済ませ、ようやく11時ごろから見晴らし広場に置いてあるトタン板の運搬を開始した。ふらふらと一輪車を押してブナ平へのハイキングコースとおやじ小屋への分かれ道まで来た所で、目の端にきのこの姿が映った。やはり二日酔いの身であれ作業中の身であっても山に入れば目だけはプロの「きのこ目」になっている。一輪車を置いてアミタケ(長岡ではアワタケという)5本採る。そしてまた一輪車を押してしばらく行くとキンロク(正式名はニンギョウタケ)の子どもが道脇に生えている。これも美味しいきのこである。今年の初物を手にして希望が出てきた。きのこが無いのではなくて時期が遅くなっただけである。
 小屋に着いて早速屋根に登り、覆ってあったブルーシートを剥がしその下の古いトタン屋根をバールで剥がした。ブルーシートとトタン屋根の間に長いヘビの抜け殻が2つもあってぎょっとする。「俺の許可も得ず隠れてこんな所で脱皮して・・・」とヘビ嫌いの自分には悔しい限りである。古いトタンを下に投げ下ろし新しい波板15枚を屋根に張った。(載せただけだが) 下に降りて見るとなかなかのリフォームである。この作業が終わった途端に雨が降り出した。何とラッキーな・・・
 夕方からの雨が夜にはバシャバシャと激しくなった。こんな中での夕食作りは気が進まないので麓のA食堂に行ってラーメンを食べた。その帰り、スーパーに寄り菊水酒造の「五郎八」という濁り酒の新銘柄を買いテントの中で強い雨の音を聞きながら呑んだ。実に、旨かった。

2006年9月27日(水)曇、雨
おやじ山の秋(おやじ小屋修理資材購入その2)

 朝雨は上がり少し陽が射したりもするが、天気予報では1日雨である。こんな時は山仕事もきのこ探しもつまらないのでカミさんと一緒にホームセンターに行って小屋の修理資材の点検をすることにした。(カミさんはどっちもつまらないかも知れないけど・・・)結局資材の点検だけでは済まず、試しに重量ブロック6個、沓石2個、尺棒用の木材3本を軽トラに積んでテントに帰った。夕食はきのこ汁。夜は大雨となる。

2006年9月28日(木)曇時々雨
おやじ山の秋(おやじの夢)

 明け方、おやじの夢を見ていて目が覚めた。昨夜来の雨は上がったようでコオロギの鈴を振るようなきれいな鳴き声だけが耳元に届いていた。外はまだ薄暗いので寝袋に包まったままで先ほどの夢を反芻してみる。それはおやじに今の自分の身がこれでいいのか?と相談している夢で、昨年の12月に定年退職して以来ずっと私の頭の中を占めていた課題だった。35年間会社生活を続けてきたのだから長い間思い描いてきた今の生活で良いのだ、という思いと、いやいやまだ仕事ができる年齢なのだから頑張って働いてお金を稼ぎ、世間や家族のために尽くすべきではないのか?という相反する思いに揺れ続けていた。このことを夢に出てきたおやじに相談したのである。生きていた時もそうだったが、おやじはいつも「孝雄が思ったようにやったらいい。孝雄が判断したことがお父さんの意見だ」と言っていたが、この夢のなかでもおやじは何も言わずに笑っていた。ただ明確ではないが何となく「今のままでいいよ」というサインがあって、ホッと安心ができて心底嬉しかったのだ。そしておやじが立ち去ってしまう前に写真を撮ろうとしてカメラを構えると、途端に普段のおやじでないひょうきんな顔になってしまうのでシャッターを切れずに困っているうちに、パッと目が覚めてしまった。何とも残念だったが、でも久しぶりにおやじに会えて本当に懐かしかった。
 テントの外に出た。ようやく三の峠山の上が明らんで朝を迎えようとしていた。
 一輪車でブロック6個と沓石2個をおやじ小屋に運ぶ。重かった! 同級生のKさんから携帯電話に「今、白神山地に来ているの。そちらの山にきのこが出た頃にまた電話します」と明るい声が入ってきた。

2006年9月29日(金)晴れ
おやじ山の秋(山古志村の映画)

 ようやく晴れた。朝が肌寒くなり本格的な秋の気配である。昼、実家に所用で行く。H宅にも寄り庭に置いてある盆栽の手入れの手伝いをする。
 夜6時半より長岡中央図書館で実施される映画鑑賞会にカミさんと一緒に行く。一昨年の新潟県中越地震で被害に遭う前の美しい山古志村を舞台にした30年前のドラマだった。題名は「錦鯉のいる村」。一日も早い完全復旧を祈る。

2006年9月30日(土)
おやじ山の秋(きのこが出た。おやじ小屋修理資材購入その3))

 気持ちの良い秋晴れである。朝起きてテント場脇のテラスと呼んでいる眺望のきく高台に出ると、ナツハゼやヌルデの葉が秋色に染まっている。
 午前中、カミさんと軽トラを駆ってホームセンターに行き次の資材を買い込む。ドライコンクリート3袋、ドライモルタル1袋、重量ブロック18個、鉄筋6本、土台用角材4本、トタン波板8枚、コンパネ2枚、コンクリートミキシングタブ1、クレオソート1缶、石工用カナヅチ1、その他数点。これらを軽トラで見晴らし広場まで運び上げ、そこから一輪車でおやじ小屋まで運搬した。カミさんが一輪車の前に縛りつけた紐を引っ張り、私が後ろの取っ手を持って押した。二人で喧嘩をしながらも(だって、カミさんが一輪車に70キロもの荷物を積んだまま坂の途中で休むものだから思わず「ばか!」と言ったら「私、藤沢に帰る!」と駄々をこねてしまった)4往復し何とか無事作業を終えた。
 そしてこの日、道脇にきのこがワッと生えた。例年より8日程遅い発生である。二日前まで3日間降った雨がきのこの発生を促したのである。若くてきれいなウラベニホテイシメジがおやじ小屋への道のど真ん中ににょっきりと出ていたりする。1本も無かった数日前が嘘のようである。おやじ小屋への道脇だけで20本程の立派なきのこを収穫した。

(「おやじ山の自然 きのこ-森の小人たち-」をアップしました。)

<<10月の日記>>に続く