2月15日(水)、気のおけない昔の同級生達とガーラ湯沢にスキーに行った。とっても楽しかったので日記に書いておこうと思う。
定年退職して失業中の身なので高校時代の同級生から「ガーラに滑りに行かない?」とスキーに誘われた。JR東日本もこの時期いろいろキャンペーンをやっていて、何と10,800円で往復新幹線代・1日リフト券代・ドリンク付き・レンタルスキー2割引券付きだという。
それで、なけなしの雇用保険金を削って参加することにした。何か国民の税金で遊んで悪いような気持ちにもなったが「これから世に尽くすためには絶えず体を鍛えておく必要がある」という理由付けをすることにした。
しかしつい先日のおやじ小屋の雪下ろしで腰痛になり動けなくなったばかりである。「果たして大丈夫かな?」と前日までヒヤヒヤしていたが、必死のリハビリで何とか行けそうである。
東京駅8時53分発の新幹線に乗りガーラ湯沢のゲレンデに11時過ぎにはもう立っていた。便利になったものだと感心してしまう。
天候は小雨、見上げる雪の斜面のすぐ前からずっと上にかけてガスで靄って視界がきかない。ゴンドラに乗っても真っ白な霧の中をゴトゴト進むだけである。「誰か行いが悪い人が居るのよね。関さん、何か心当たりがあるんじゃない?」と前の席に座ったKさんが言う。ほら来た!「いや俺、正月に引いたおみくじ大安だったよ。旅行もいい筈なんだ」と答えると「大安じゃなくて大吉でしょ」と訂正され、「それに大吉って良くないのよ。おみくじを引いた時点が頂点でその後はまっしぐらに転げ落ちるのよね」とTさんが嫌味を言う。転んで腰痛がぶり返さないように気をつけよう。
ゴンドラを降りてから今度はスキーを履いて4人乗りのリフトに乗った。「ねえ、会社辞めてずっと家にいるの?」とTさんに質問される。「まあ、今はそうだね」「奥さんに嫌がられない?」グサリと来る。「・・・Welcomeって言ってる、ようだけど・・・」「ほんと?」という顔付きである。
何本目かのリフトに乗って、ぼんやりと霧に煙っているミズナラの樹林に見とれていた時、今度はKさんが「ね、ね、ねっ、夫が定年退職した直後の離婚て多いんだってよ。じっと我慢してた奥さんの方がプツンと切れて、妻の方から離縁状なんだって。関さん大丈夫?」 はっとして夢心地から覚める。「それで奥さん、今何やってるの?」 「えっ?それ、それ、そういう奥さんが一番危ないのよ!」グサッと来た。目の前の安全バーが無かったら霧に吸い込まれてリフトから転落するところだった。
リフトの終点の山の頂上でTさんから記念写真を撮ってもらった。本来ならば越後三山や上越国境の名峰が望まれるはずだったが、ガスで10m前ですらぼんやり霞んでいる。「光った?」とシャッターを切ってからTさんがフラッシュの具合を聞く。大方の素人カメラマンの第一声がこの言葉である。
今度はお返しにTさんとKさんのツーショットを撮ってやる。シャッターを押してからやっぱり「光った?」と自分も定番の言葉を吐いてしまった。しかしこの凄いガスの中では輝子さんと麗子さんの顔も霧子さんや幻子さんの顔になってしまうのではないか?だがそれは二人の顔がますます雰囲気のある愁えたような表情になって魅力的に写る筈である。(ホントかなあ〜?)
ゲレンデでは昨年北海道のスキーツアーで田辺君に教わったやり方を思い出して慎重に滑った。転んで治りかけた腰痛が再発して「ほら、見たことか!」とカミさんに言われないためである。この場合の「ほら!」は感動詞ではない。指示代名詞のような「ほら」で、過去にあった悪さをいびり出すような響きを持つはずである。だから、怖いのである。
昼食は1時過ぎにゴンドラの終点のレストランで摂った。。ラーメンとビールを盆に載せて、Kさんが「ここにしましょうよ」と言ったシルバー席に座る。Kさんは何と大皿に盛ったイタリアンである。ふっと生命保険会社が募集した川柳の『昼食は妻がセレブで僕セルフ』という句を思い出した。Kさんは少し残した料理を前にして「私、グルメの求道者になるかダイエットの健康第一主義者になるか、どうしょうかなあ?」と悩んでいる。「それは健康第一だよ。健康、健康!」とすかさず言って何となく仇をとる。「そうか・・・」とKさんはそれでも恨めしそうである。
この席で私は名刺を配った。会社を辞めてからも何かの自己紹介の時に使うだろうと思って2箱(200枚)も作ったが、さっぱりはけないのである。渡す必要もない兄弟や親戚の者に数枚配っただけである。だから今日は良いチャンスなのである。
渡された名刺をしげしげと見て、友達は「何かいっぱい肩書きがあるのね・・・」と呟いている。前に渡した兄から「この名刺、ビラビラがいっぱい書いてあって成金趣味だなあ」と言われたことがある。だからこう言われると恥ずかしいのだ。
このホームページのプロフィールに書いたようなカタカナ名の資格のようなものを名刺に刷ったのだが、カタカナで書くと字数が多くなってやけにチャラチャラした感じになってしまうのだ。
この点やっぱり日本語や漢字は素晴らしいと改めて思う。森林インストラクターが「森の案内人」、グリーンセイバーが「木と環境の助っ人」、グリーン・スッタフが「自然環境世話人」とでも書いていいような気がした。
とにかく、無事スキーは終わった。それで皆で駅の中にある温泉に入ることになった。何と水着着用のジャグジー風呂だという。温泉に入ることは聞いていたが、普通の岩風呂や桧風呂の温泉だと思って水着など持って来なかった。思わず「俺、フリ××で駄目だろうか?」と言ったら「まあ、嫌ねえ!」とTさんの顰蹙を買ってしまった。大変失礼をいたしました!
(2月17日記)
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