ホオノキ  朴の木  (モクレン科)

おやじ山にはホオノキの大木が何本かある。小屋に泊まって食事をするときに、近くのホオノキか
らこの葉を採ってきて皿の代わりに使う。ワイルドな雰囲気を楽しむためではなくて、ただ後で食
器を洗うのが面倒だからである。食事の後片付けはこの葉を焚き火に放り込めば済む。
中学校から高校時代を通して、雪の時期のゴム長以外は朴歯の高下駄を履いて通学した。そのせい
か足がダンビロ(段平か?)に変形し、東京や京都・奈良の修学旅行の前に買ってもらった革靴が
合わずにひいひい泣きながら見学して回った記憶がある。当時の同級生達は、殆どが修学旅行で革
靴を初めて履いたという連中ばかりで、みんな足を引きずりながら歩いていた。周りの文明人達は
「どこの山猿の集団か?」とさぞかしびっくりしたことだろう。

ホオノキの花と葉は日本の樹木の中で最大である。
葉身の長さは20〜40cm、葉の幅は10〜25cmの倒卵形で野良仕事の時などに食物を盛ったり包んだりした。
万葉の昔は「ホオガシワ」「ホガシワ」の名があり、カシワには「料理に使う葉」の意味があった。
葉に芳香成分があり、朴葉巻きはカビやバクテリアを防いで食料の腐敗防止効果がある。
葉の展開後、5〜6月に約15pほどの黄白色で芳香のある大きな花を咲かせる。しかし高い木で上を向いて咲くので、大きな葉が邪魔になって気付かないことがある。
材は狂いが少なく、下駄、版木、家具などに使う。
小屋では味噌を乗せ朴葉味噌に。
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