春の山    フジ   藤 別名:ノダフジ (マメ科)


5月、おやじ山ではこのように落葉高木や杉の大木に巻きついているフジを目にする。
大木を囮にして絢爛と花を咲かせている大株のフジを見ると、何やら恨みがましい気にもなってくる。
自分の持ち山の境界の隅に天然杉の大木があるが、この杉の木にも腿の太さ程もある幹のフジが絡
み付いている。藤つるに締め付けられた杉が可哀想で何とかしたいとは思うが、たたりが恐ろしくて、
とても鉈で断ち切る気にはなれない。





さらに一言
別名は「ノダフジ」と言うが、野田は大阪の地名で藤の名所である。また「フジ」の名は風が吹くと花が散るので、「吹き散る」から来ているという。
つるの巻き上がる方向は左巻きである。
ご存知の花は長い総状花序で枝先から垂れ下がり、長さ1.5〜2cmの紫色の蝶形花が多数つく。
果実はマメ科であるから豆果。熟して乾燥すると2裂してねじれ、「パチン、パチン」と大きな音で種子を飛ばす。
根には根粒菌が共生し、空気中の窒素を利用できるため、養分の少ない荒地でも生育できるものが多い。

旅館や料亭の料理の皿にフジの花が添えられているが、花や新芽は食べられる。
しかし、料亭で出される料理のツマのフジの花など「試しに・・・」などと口にしてはいけない。「この人下品ね」と女将から軽蔑されるだけである。

つるは籠を編む材料にされる。
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