秋の山   ヌルデ  白膠木  別名:フシノキ  (ウルシ科)

 秋の初め、他の木々がまだ夏の装いの中で早くも綺麗に黄葉(紅葉)するので、「ああ、秋が来た
んだなあ」と少し寂しい気持ちになる。遠くからだとヤマウルシとなかなか見分けがつかない。近づ
いて見て葉軸に翼があれば本種である。ヌルデはウルシほどかぶれないというが、「まあ、きれい!」
などと不用意に頬ずりなどしないことである。
 葉にヌルデシロアブラムシが寄生してできた虫えいは五倍子(ごばいし)と呼ばれタンニンの含有
率が高く薬用や染料に利用される。

さらに一言
 名前の由来は、幹を傷つけると白い樹液が沁み出すが、これを器具などに塗ったことからヌルデである。
 果実は秋に黄赤色に熟し白い粉に覆われている。かつて既婚女性の間で歯を黒く染める風習があったが、その時の媒染剤としてして使う「フシの粉」の原料である。この果実はロウの原料となる。この果実を齧ってみると塩味がする。ビールのつまみになりそうである。
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