春の山   タニウツギ  谷空木  (スイカズラ科)

この花は自分にとってワラビ採りの指標花木である。
おやじ山にこの花が咲き出すと「さあ、ワラビ採りに行くぞ!」と気合が入る。
崩壊した後の斜面や雪崩が起きるような日当りの良い山腹にいっぱい生えて、まるでタニウツギが雪国
の春を精いっぱい謳歌している風にも見える。
しかし越後長岡人は、昔からこの花には良いイメージを持たない。この花を家に持ち帰ると火事になる
、という言い伝えがあって、花好きのお袋も決して手折って家に持ち帰ることはなかった。またこの葉
を持ち帰るとカイコが桑と間違えて食べて死ぬとか、材を木釘として棺桶造りに利用するので縁起悪い
、とかの伝承もある。
方言名ではカジバナ、マッチバナの悪名のほか、この花が咲くと田植えがぼちぼち始まることからタウ
エボッチやサオトメバナの美しい名もある。何しろこの花の地方名は新潟県だけで50もあると言わる実
にポピュラーな花木なのである。










さらに一言
谷に生えて(峰や山の斜面にも生える)幹の中が中空なので「谷空木」。
主に日本海側に生え、太平洋側に生えるウツギ類よりは余ほど色鮮やかである。
しかし、自然観察林の谷川沿いには、ピンクの花に混じって、白いタニウツギが咲く。実に珍しい。


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