タムシバ  別名:カムシバ/ニオイコブシ  (モクレン科)

春の花木には白い花が多い。そしてこの白が越後の春の浅緑の山腹にも、少し霞んだ空の色にもマ
ッチするようだ。
まだ閑散と寂しい山肌に真っ白なこの花を見つけると「ああ、越後にも春が来た
なあ!」と胸が浮き立つ思いがする。
昔は、モクレンもコブシもタムシバも全く区別ができなかった。みんな同じ花だと思っていた。
ようやく大人になって、農家の庭先のモクレンをしげしげ眺めたり、丘陵地でコブシの大木を仰い
だり、山でタムシバを見ながらウグイスの鳴き声を聞いたりするようになって、ようやく違いが分
かるようになった。









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さらに一言
別名の「ニオイコブシ」はこの葉を噛むと甘い香りがすることから。
よってカムシバも「噛むし葉」であり、これが訛って「タムシバ」になった。
一般的には山地に生え、丘陵地に多いコブシのような大木にはならない。おやじ山のタムシバもせいぜい5m前後である。
春、葉が展開する前に直径10cmほどの芳香のある花が咲く。
コブシと似ているが、コブシは花のすぐ下に小葉が1枚付いているがタムシバには葉がない。
葉の特徴もコブシより薄く、裏面が幾分白っぽい。