山菜 -春のめぐみ-
黄土の風景(その1)
「黄土」と呼んでいる場所は三ノ峠山の直下にある。麓から谷川を遡行し崖を喘ぎながら這い上がって斜面を登りつめると、ここにたどり着く。
ここはおやじが残してくれた山菜の宝庫である。ゼンマイ、ウド、ワラビ、コゴメ、ヤマアスパラと立派な山菜が次から次と生え、その豊穣さには驚くばかりである。
採り疲れて斜面に腰を下ろすと、眼下に長岡の街が広がり、信濃川が銀色に光り、越後平野の彼方に弥彦が霞んで見える。そして鶯の鳴き声が春の風に乗って「黄土」にこだまするのである。
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