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2021年11月14日(日)晴れ
おやじ山の秋2021-プロローグ
 11日の午後、山から下りた。9日に長岡入りしたSさん、Tさん、Nさんの旧知の仲間三人と一緒の下山で、この日の午前中から全く休み無しに働いて貰い、ようやく午後1時過ぎに「おやじ小屋」「風の小屋」の雪囲いが済んだ。
 そしていつものように小屋に向かって別れの挨拶をし、おやじ山の出口(入口)の坂の上に立って再びおやじ山を振り返り、大声で「ありがとうございましたぁ~!」とお辞儀をして山を下った。

 神奈川から来て呉れた三人の仲間の滞在中は生憎の雨模様だったが、その雨がぐずぐずと停滞していた生半可な秋の季節を一気に深めてくれた。11日の午後に山を下ったその道すがらの風景は、しっとりと湿り気を含んで幽愁を帯び、まさにこの時期通りの晩秋と呼ぶにふさわしい風景だった。

 今回のおやじ山入りは9月24日だった。本来ならば神奈川で2回のワクチン接種を終えて、お盆前には山に帰って来る予定だったが、東京オリンピックを境に首都圏で新型コロナの感染爆発が起こり、緊急事態宣言解除のギリギリのタイミングまで山に戻れなかった。
 
 49日間の今回のおやじ山暮らしを振り返ると、やはり忘れられない様々な出来事があった。
 昨年来の新型コロナに翻弄されて、おやじ山を慕って毎年訪ねて来てくれていた古くからの友人達のご無沙汰が続いていた。そしてようやく、今回の滞在中に、遠来の友人達を迎える事が出来た。
 10月9日には首都圏に住む高校時代の同級生5人と地元同級生3人がおやじ山を訪ねてくれて、風の小屋に初めて集って1年経った「新築の山小屋」の落成を皆で祝ってくれた。

 11月9日に長岡入りしたSさんと、翌10日にご実家のある信濃大町から娘さんの介添えで来られたOさん。このお二人の来訪ほど嬉しかったことはない。Sさんは3年ぶり、Oさんは、多分5年ぶり位になるかもしれない。お二人とも現在も闘病中であり、「夢にまで見たおやじ山に何としても行きたい」と病をおしての来山だった。おやじ山主としてまさに冥利に尽きる慶事だった。

 おやじ山の今年の秋は、例年に比べて随分暖かだった。そのせいか入山当初から10月中旬まで夏の名残がだらだらと続き、10月17日からの雨で本格的な秋を迎えた。翌18日にはおやじ山の気温は4℃まで下がって、風の小屋のストーブの炎がようやく季節に馴染みだした。
 気候の変調はキノコの発生にも影響したようで、今年はキノコが大不作だった。長岡の山では普通に生えるアミタケ、アマンダレ(ナラタケ)、シメジ類の発生はおろか、様々な毒キノコも殆ど目にすることが無かった。
 その中で「アッと驚く」出来事は、風の小屋から目と鼻の先に「舞茸!」の立派な大株が発生したことである。入山初日の9月24日に小屋の窓を開けて発見して、26日には仲間達が集まって収穫して大いに舞い踊った。さらにこの舞茸菌を繁殖させておやじ山を「マイタケ山」にすべく、9月30日には近くのミズナラの立木を伐り倒して玉伐りし、舞茸が生えていた周囲にずらりと寝かせて数年後の一攫千金を狙ったのである。

 山施業は今年度から新たな段階に入り、おやじ山に隣接する長岡市の山林(東山ファミリーランドの自然観察保安林)約1.5ヘクタールを今後3年間当越後長岡おやじ山倶楽部で整備することになった。10月14日の定例作業日には、西山さんが鮎の塩焼きや「おもいのほか」(食用菊)のおひたし、佐藤さんから栗ご飯の提供があり、今年度最終作業日となった11月4日には、西山さん提供の「きのこ汁」を皆で食べて打上げとした。

 しばらく自宅で体を休めた後、また全国の森林調査の仕事で山に入る。それまでは、この秋のおやじ山の日々を少しずつアップしたいと思っている。


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