前のページ|次のページ>>
最後のページは<4月28日>      おやじ山の春2016  最新日記を順次<1ページ目>にアップします。

2016年4月30日(土)晴れ
一時帰宅
 昨29日、おやじ山を下りて、藤沢の自宅に帰った。5月に入った後半の大型連休におやじ山に来る家族と孫らを迎えに来たのである。おやじ山はまだ春が始まったばかりだが、こちらは木々の葉が青々と繁って、何やら別世界に来た感じである。

 さすがに自宅に着いた昨日の夕方からは、49日ぶりの畳の部屋でいくらか寛いだ気分で過ごしたが、今日は朝から溜まった郵便物やパソコンメールをチェックしたり、猫額の庭に下りて伸びた雑草をむしったりと慌ただしく時間が過ぎた。
 明後日の早朝、今度は家族総出で再びおやじ山に戻る。そして娘や息子家族が帰り、俺が自宅に戻るのは、多分6月初旬頃である。

 今回の49日間の『おやじ山の早春2016』のアップはその後になるが、その頃には夏の太陽がギラついているかも知れない。
 『おやじ山の早春2016』のプロローグも書いてないのに変な話だが、次ページに一昨日の日記を『おやじ山の早春2016-エピローグ-』として今季の大要を先ずはお知らせしておきたい。
2016年4月28日(木)雨
おやじ山の春2016(一時帰宅前日)
 午前4時起床。いつものように寝袋に入ったまま半身を起こして壁に寄り掛かり、日記をつける。
 今日で今回のおやじ小屋暮らしが48日目になった。暖冬小雪の今年の冬だったが、おやじ山に入った3月中旬には、まだ雪が50㎝ほどあって、夜は気温が零下10℃まで下がった日もあった。それでも俺が一番好きなおやじ山の季節は、この冬から春へと季節が移り変わる早春の時期で、小屋向かいの山菜山の斜面が一面真っ白に雪で覆われた姿からはだら雪となり、日に日にモザイク模様の大地が冬の名残雪を制して拡がり、更に黒々とした大地がある日ハッと目覚めたかのようにほんのりと薄緑色に染まり、そして一雨、一陽ごとに萌黄が濃くなり、今や目に染みるほどの鮮やかな新緑に彩られている。

 しかし今年の早春は例年になく足早に通り過ぎてしまった。おやじ山を一面ピンク色に染めるカタクリの群落は、いつもの年より2週間も早く、4月6日には満開を迎えた。そしておやじ小屋の前斜面に立つカスミザクラの大木も、4月17日には豪華に花開いて遠来からの客人をもてなしてくれたものの、毎年大型連休に、この桜の花見を楽しみにしている麓の人達をガッカリさせるかも知れない。

 長岡人が「山野菜」と親しんでいる山菜は、雪融け直後のフキノトウから、4月初旬には早コゴミの盛期となり、4月中旬のゼンマイ、そして今はウドとウルイが盛期を迎えている。そして例年なら大型連休後に採り頃となるワラビが早くも顔を出して、おっとり構えていた山菜狂を慌てさせている。

 午前5時、久々の雨音が小屋の屋根を打ち始めた。珍しく5日間も続いた好天の後の静かな春雨である。この雨に木々の葉が洗われ一層新緑を鮮やかにさせて、まさにおやじ山は「山笑う季節」そのままの山姿になるであろう。

 この雨が止んだら、一旦山を下りるつもりである。春の山仕事は何とか一段落した。この春の足早の季節に追われながらも、一日一日精一杯働き、躰を動かした。それで、自分は満足だと思っている。
(おわり)