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2016年12月31日(土)晴れ
ディスカバー・ジャパンの山旅
 この1ヶ月間で24日間山旅を続けた。こんなに短期間で日本各地(11県)を駆け回ったことは、もちろん初めてである。それで昨30日、今年最後の森林調査の仕事を中国地方の山中で無事終了し、「これから帰る」とカミさんに電話すると、「あら、早いわね」と言われた。これ以上遅く自宅に戻るとなると・・・?今日の大晦日か年明けということになって・・・一体俺の家長(既に死語か)としての存在はどうなっちゃったんだろう?

 今年度の森林調査の仕事は11月に入ってから始まった。気のおけないKさんとのペアで、11月は2度の出張で四国の高知、愛媛の山中を14日間旅し、12月に入った途端、矢継ぎ早の仕事で11月以上に忙しくなった。

 12月3日から再び四国の高知県、6日に帰って中1日休んで、8日から宮城県入りして栗駒山系、岩手の早池峰山系、雪の積もった青森八甲田山系と渡り歩き、日本海側に出て、秋田の白神山地を望み、冬荒れの日本海からマタギの里阿仁、吹雪の男鹿を周り、山形の白鷹山での調査を最後に12月17日までの東北10日間の山旅を終えた。相棒のKさん運転の四駆車ニッサンX-TRAILのこの間の走行距離は、何と!1800kmを超えた。


 そして再び中1日自宅で休んで、12月19日には米子空港に降り立った。鳥取、島根と山陰地方の山々を5日間かけて回り、23日に帰宅、24、25日と2日間自宅で休んで(友人達との忘年会で楽しく過ごし)26日から再び広島、山口、岡山と今度は山陽地方の山に踏み込んだ。

 そして、今回の山旅でもつくづく思ったことは、「日本は何と美しい国だろう」ということである。地方地方に懐かしくもかけがえのない風景があり、その土地独特の厚い人情があり、長い歴史に育まれた貴い風土があり、各地を巡りながら「おお!Discover Japan!美し国ニッポン!」と、何度心の中で叫んだことか。

   妻よ子よ
   
   妻よ子よ

   帰らなくともよいか

   妻よ子よ

 この短い詩は、夢枕獏の「聖玻璃の山」に載っていたものだが、著者がチベット旅行で出会った衝撃的な風景を、最愛の妻子を引き合いに、その感動の大きさを表したと理解した。ゆめゆめ、自分自身が自宅に帰りたくないのではない。
 それで、もし俺が、昨日のカミさんへの電話で、日本の各地で出会った素晴らしい風景に感動のあまり上の詩を呟いたとしよう。するとカミさんは、「はいはい、分かりました。帰らなくて結構です。ワタシ、まだ羽が充分伸びきってないですから」とのたまうのではないかと・・・

 2016年が過ぎようとしている。今年は俺の大切な友人が二人も亡くなり、山旅から帰ると、俺の保育園時代のガキの頃から家族ぐるみで親しくお付き合いさせていただいたS家のおばさんの喪中はがきが届いていた。今年も悲しいことはあった。しかし俺のこの1年は、そこそこ合格点だったのではないかと。
 
 皆さま、どうぞよいお年を・・・

(2016年大晦日 13時20分)