M・H様
長い間ご無沙汰しておりました。ご主人がお亡くなりになった時以来ですからもう20年お会いしておりませんね。昨晩、偶然にもあなた様のBlogとホームページに出会いお元気なご様子を知って安心いたしました。私のホームページに時々訪問して下さっていることを知りビックリすると同時にとても嬉しく思いました。あなた様が6月3日のBlogに書いておられた内容に感激し心から感謝いたします。Blogには「主人の友人」と私の紹介がありましたが、既にお読み下さってお気づきかも知れませんが私のホームページのプロフィールに書かせていただいた通りHさんは私のかけがえのない「恩人」です。<プロフィールに書いた「その昔、シュトルム・ウント・ドランクの時期に知り合った今は亡きある恩人」とは紛れもないご主人のことです>生前は勿論お亡くなりになってからもずっとHさんの言葉を胸の中で聞きながら仕事をしてきました。私が国鉄を辞めその後苦しんでいた時期に入社した会社で総務人事の高い役職についておられながら、若造の私がそこも退職する時にHさんは奈良の仏像を訪ねる旅に誘って下さいました。今からもう38年も昔のことです。二人で奈良の古寺を巡礼しながらHさんからたくさんの仏様の解説と仏像の見方を教えていただきました。新薬師寺の傍の志賀直哉ゆかりの宿で夜遅くまでHさんとお話しをし、その時奥様との出会いのエピソードもほほえましく聞かせていただきました。そして翌日、山の辺の道を歩きながらHさんが「会社を退職したら寺守になりたいなあ〜」と呟いた言葉が忘れられません。いま寺守になったHさんとお話しができたとしたら山ほどお伝えしたいことや聞いて欲しいことがあるのになあ、と思っています。
今Hさんの形見のご本を大切に持っています。ご主人がお亡くなりになったと転勤先の富山で知り(この知らせを伝えて下さった方にもいつかまたお会いできたらと思っています)、休日を待って東京のご自宅にお伺いしました。Blogでお書きの通り霊前で号泣してしまいましたね。Hさんの書斎だったであろうそのお部屋の書架の前で泣いている私にあなた様から「お好きな本をお持ち帰り下さい」と言われて頂戴したご本がこの「奈良の旅」(松本清張・樋口清之著)の初版本です。ページを開くと何という植物か多分あの時の旅で摘んだであろう押し葉が挟んであります。赤く変色したこの押し葉をじっと見ていると、涙が止まりません。
またいつでも「おやじ小屋から」に訪ねてきて下さい。そしてあなた様のBlogでお元気なご様子をお知らせ下さい。どうかいつまでもいつまでもお元気で・・・
おやじ山主 T・S
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