初夏の山   ケナシヤブデマリ  毛無藪手毬 (スイカズラ科)

初夏の花木には白系統が実に多い。ケナシヤブデマリも緑が濃くなった山肌で白く浮き立つように
自己主張する大型の花である。
湿ったところや谷川沿いが好きな花木で、おやじ小屋から見下ろした谷川の脇に毎年咲き誇る。
遠目には(近くに寄っても)ムシカリそっくりだがムシカリは早春の花でありケナシヤブデマリは
初夏の花である。大きな違いは5裂した装飾花の1枚が特に小さいことである。



さらに一言関東以西に分布するヤブデマリに対し、ケナシヤブデマリは日本海側の雪国地帯に分布する。ムシカリとの違いは装飾花の花弁の他に花序の柄(ムシカリは無くヤブデマリはある)、葉の基部の違い(ムシカリはハート型、ヤブデマリは円形又はくさび型)で見分ける。
長岡では「馬ズミ」や「モチノキ」と呼ばれるが、「馬ズミ」は葉が大きくてガマズミに似ているため(別名「ヒロハヤブデマリ」とも言う)、「モチノキ」はこの実から小鳥をつかまえるトリモチを作ったからである。

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