フォトアルバム・おやじ山の春2016                           

フキノトウ
 昔は、「フキノトウが山菜?」とバカにしていた。おやじ小屋で暮らして、ようやくこの山菜の持つ意
味が理解できるようになった。長く雪に埋もれた生活をしていて、雪融け跡にいの一番に出てくる
のがフキノトウである。単なる山菜の芽生えではなく、雪国の人びとはそこに春の到来を感じ、歓び
を感じたのである。
 文豪開高健はこのように記している。『物には5味と言って、夥しい輝きと翳があるが、もし”気品
”ということになれば、それは”ホロ苦さ”ではないだろうか。山菜のホロ苦さには”気品”としか言いよ
うのない一種の清浄がある』と。その代表格がフキノトウだと言いたい。