2022年8月22日(月)晴れ |
おやじ山の夏2022(プロローグ:仙台から長岡へ) |
再びカミさんと仙台入りしたのが8月19日。6月に亡くなった陸奥国分寺にある義姉の墓参りと青葉区子平町龍雲院(「開国兵談」を著した林子平の墓がある)にあるカミさんの実家の墓参りを済ませ、特養ホームに入所している義兄にもごく短い時間内で面会することが出来た。今回の面会は前回とは正反対に、俺の顔はすっかり忘れてもカミさんの顔は思い出したようで、兄妹とも感極まっておいおいと泣き出して、俺ももらい泣きしながら胸が締めつけられるようだった。制限時間になり、カミさんと義兄はコロナ感染対策の透明ビニールの間仕切りを挟んで、手の平タッチで別れの挨拶を交わしたが、職員に促されても義兄はなかなか椅子から立ち上がれなかった。足腰がすっかり衰えたせいもあろうが、それにかこつけて、義兄は妹と別れ難かったのだと思う。別れ際に目にいっぱい涙を浮かべた義兄の姿が哀れで痛ましくてならなかった。
そして今日は、朝5時から義姉の留守宅の庭に生い茂った草むしりに精をを出して(特大のゴミ袋5個分)午前8時に仙台の家を出た。
しばらくは国道4号線を走り、途中山本周五郎の「樅ノ木は残った」で一躍脚光を浴びた船岡城址に立ち寄った後、白石インターから東北道~磐越道~北陸道とひた走って、午後5時にカミさんともどもおやじ山に入り、無事風の小屋に着いて旅装を解いたのである。 |
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2022年8月23日(火)曇り |
おやじ山の夏2022(寝込みを襲われる?) |
朝6時、突然携帯電話が鳴った。地元のKさんからだった。「今見晴らし広場までNさんと来たんでこれから伺います」との事である。「おい、KさんとNさんがすぐここに来るってよ」とカミさんに告げる。「あれまあ大変!ワタシまだ顔も洗ってな~い!」と二人でバタバタとしているうちにKさんたちがやって来た。何しろ昨晩は風の小屋に着いてから、「このままここで寝るの~?気持ちワル~イ!」」とカミさんは寝る段になって床の雑巾がけなど始め、俺は山に帰って来た嬉しさで一升瓶片手に夜中近くまでダラダラ酒を飲んでいた。
「本当はご夫婦の寝込みを襲おうと思ったんだけどね」とNさんがニヤニヤしながら言った。お二人は今日の午前中には藤沢に帰るカミさんに挨拶に来てくれたのだが、Kさんは早速あれこれの差し入れ品を持って来てくれ、Nさんはいつもの通り、美味しいお抹茶を点てて俺とカミさんを迎えてくれた。風の小屋のデッキに座り滴る山を観ながら喫した起きがけのお抹茶が、アルコールに汚染された身体を見る見る清浄化してくれているようだった。そして、ものの一時間も経たないうちにKさんとNさんは颯爽と山を下りていった。まったく有り難い山仲間である。
新幹線でカミさんが帰り、今日からまた一人の山暮らしである。
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2022年8月25日(木)曇り |
おやじ山の夏2022(アナグマの仕業) |
昨日山回りした時に拳大の穴が何カ所かあった。アナグマの仕業である。以前はおやじ山には居なかった動物だが、5年程前から現れてヤマユリの球根やミミズを掘って食べるのである。そして今日は、6月に植込んだマイタケのホダ木の床でもアナグマの痕を見つけて補修することにした。早く良寛さまの心境に至って日々穏やかに暮らしたいのだが、やたら財産(?マイタケのホダ木)を持ってしまうと気苦労が絶えないのである。
遮光ネットの端を掘られた ネットをめくると・・・ 土を戻しブナの枯葉を敷き詰めて補修
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2022年8月26日(金)雨(朝の気温19℃) |
おやじ山の夏2022(ラジオ体操と床屋) |
山での暮らしは電気がないので、「暗くなったら寝る。明るくなったら起きる」を基本としている。だからこの時期には、多分街の人たちよりは随分早起きになっている。
昨晩からの雨が夜中中降り続いていた。起きて外に出ると山菜山が白い霧で覆われていた。昨日からようやく涼しくなって、今朝の気温も20℃を切った。
山暮らしでの日課は、目覚めるとすぐ枕元のラジオをつける。それからやおら起上がってお湯を沸かしてコーヒーを一口啜る。そしてカップを持って箱火鉢の前に座り、コーヒーを飲み飲みしつつ蓋代わりに載せた炬燵板の上で前日のあれこれを思い出しながら日記をつける。(ここで自分の記憶力がまだしっかりしているかどうかチェックする。だんだん朧になってくるような・・・)ラジオの番組は、「NHKラジオ深夜便」から5時台の「マイあさ!」になり、そして6時30分、ラジオ体操の時間となる。音楽が鳴り出すと咄嗟にラジオを鷲掴み、勇躍風の小屋のデッキに飛び出る。ラジオ体操の歌を聴きながら大声で「おはようございま~す!」と山菜山に向かって挨拶する。毎日のラジオ体操が一日のスタートである。
何と!今朝の「夏休み巡回ラジオ体操」の場所が、藤沢の俺の家からほど近い「秋葉台運動公園」からの中継だった。俄然体操に熱が入った。
10時に下山して宮内の床屋に行く。いつもの床屋だが、今日はちょっと混んでいた。何となくいやな予感がした。「バリカン入れていいですか?」「ああ・・・ハイ」。ガ-ッ!とものの数分でカットが終わって、合わせ鏡で後頭部を照らされ「これでいいですか?」と訊かれる。「ああ・・・ハイ」と答えるしかない。(こんな時「ダメです」なんてとても言えない)混んでいたせいかいつもより随分早く終わった。「まあ、藤沢の床屋の半額だから仕方ないか」と自ら納得させる。
それから雪割草の湯に行った。ここも久しぶりだった。お風呂でもう一度しっかり頭を洗って、脱衣場の鏡でつぶさにカットした頭を点検してみると・・・「やっぱりなあ~↓」と意気消沈してしまった。<教訓>床屋へはぼうぼうの頭で入ってはならない。混んでいる時はなおさらである。甘く見られて杜撰な調髪になる。「俺はいつも頭には気を遣っているよ」という意思表示でそこそこキチンと髪を整えて床屋に行くことである。(まあ、エチケットでもあるし、今更なんだけど・・・)
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2022年8月31日(水)晴れ(街の気温34℃) |
おやじ山の夏2022(定例作業日) |
一昨日(29日)の朝は気温が14℃まで下がって「いよいよ秋か・・・」と思いきや、昨日、今日と再び30℃超の夏日である。
今日も随分蒸し暑い一日だったが、毎週水曜日は原則「おやじ山倶楽部定例作業日」と決めていて、Sさん、Nさん、Kさん、Yさん、Hさんのいつもの男5人衆が集まった。早速手分けして、昨年度から施業を始めたおやじ山に隣接する長岡市と協定書を交わした市有地山林の除伐・草刈り、また杉伐倒地に薪割りしたまま放って置いた薪運びなどをした。
さらに今日は、Sさんが新たに試作した受水バケツを谷川の水源地に設置した。ポイントは如何に渓流に混じっている細かい砂を受水バケツの中で漉してきれいな水道水にして送るか、である。全員で谷川の上流に入ってワイワイ言いながら作業したが、まあ暑い中での大人の水遊びの感じだった。
長岡市協定地の草刈り 薪運び 水源地受水槽の設置
お昼は、Nさん手製のカボチャ煮(持参した朱塗りの器に盛り付けるのがNさんのこだわりである)、Sさん奥様の芋の煮っころがし、ミョウガ料理、冷やした漬物などに箸を伸ばし、舌鼓を打った。こんな山仲間とのひとときが、まさに至福の時間なのである。(右写真:朱塗りの器にカボチャ煮を盛り付ける)
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