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おやじ山の春2022
2022年5月1日(日)冷たい雨
おやじ山の春2022(猿倉岳春のトレッキング)
 主峰鋸山(765m)を頂く東山(正式名は長岡東山丘陵)の南端に位置する猿倉岳(679m)登山のイベントが春・秋の年2回開催されて、ほぼ10年になる。主催は、猿倉岳山頂付近のブナの森(天空のブナ林)を整備している地元蓬平町のボランティア団体「猿倉緑の森の会」である。
 このグループとのお付き合いは、平成24年に長岡市農林整備課を通じてブナ林施業のアドバイザーを頼まれたのがきっかけだった。

 この団体が、広く長岡市民に対して、森林施業への理解や猿倉岳ブナ林のPR、さらには蓬平町の魅力を知ってもらいたい、と始めたのが、猿倉岳のトレッキングイベントである。そして先の関わりから、同じ森林インストラクターやおやじ山の山仲間達のサポートでリーダーを引き受けて早10年程が経った。

 今回のイベントでも神奈川から森林インストラクターのKさんとNさん、そしておやじ山倶楽部のSKさんと俺の4人でリーダー役を務めた。

 昨日は、既に神奈川から駆けつけて長岡入りしていたKさん、Nさんと猿倉岳の下見をした。頂上付近にはまだ雪が残っており、その残雪の上にはブナの雄しべが無数に落ちていた。見上げれば新緑のブナの枝先は若いブナの実がビッシリとついている。5~7年周期というブナの大量結実である。

  授粉後に落ちたブナの雄しべ   ブナの枝にはブナの雌しべ(若い実)がビッシリと
 開会式からあいにくの雨の一日だった。それでも、一般市民が約60名、地元太田小中学校の生徒・父兄30名が参加してくれた。開会式の挨拶では、「今年はブナが大量結実の年で、その様子をしっかり見て下さいね」と強調した。
 そして皆さんを猿倉岳に案内し、天空のブナ林の中を歩いてブナの大量結実を確認し、昼食会場へと下山した。

 厳しい冷たい雨の中のトレッキングイベントだったが、3人の仲間達の協力で何とか無事に終わった。最後は和泉屋さんの温泉で身体を温めて、ホッと息をついた次第である。
(以下は健介さん撮影写真)

   
イベント開会式        ブナの大量結実を説明      いざ、出発!

 
猿倉岳「天空のブナ林」         残雪の猿倉岳頂上        昼食会場
2022年5月5日(木)晴れ
おやじ山の春2022(子どもたちの来山)
 3日に娘と友達のSさん、それに息子が、Sさんの車で神奈川からやってきた。例年なら息子が孫達も連れてやってくるのだが、事情があって叶わなくなった。孫の承太郎は小さい時からおやじ山での山菜採りに興味を持って、毎年春の大型連休を楽しみにしていた。本人はどうか分からないが、俺は寂しくて仕方がない。

 例年ならこの連休は家族や客人を迎えるために麓の市営キャンプ場にテントを張るのだが、今年は子どもら3人だけなので、風の小屋で寝泊まりさせた。囲炉裏を囲んでの夕食後は、娘とSさんは風の小屋で、俺と息子は外のデッキにテントを張って一緒に寝た。

 2日目は皆で山菜山に入り、たくさんのウドとフキなどを採って、お土産に持ち帰ってもらうことにした。そしてこの日は、息子がおやじ小屋で一人で寝たいと言い出した。俺にとっては微笑ましくも心底嬉しかった。
 そして3日目の今日は、帰りの高速道路の渋滞を見越して早々と山を下りた。そして越後川口道の駅で家族へのお土産を買わせ、皆で川口温泉の湯に浸かった。

「あっという間の3日間だったね」
「ウン、でも楽しかったよ」
「3人とも、また明日から仕事で大変だあ~。頑張り過ぎて身体こわさないようにね」
「ウン、大丈夫。お父さんはお酒飲み過ぎないようにね」
「ウフ・・・それじゃあ気をつけて・・・」
 川口温泉の駐車場で手を振って3人の乗った車を見送った


第1日目:山古志棚田見学 2日目:山菜山でウド採り 採りたてウドの一本煮 3日目:展望台で記念撮影
2022年5月6日(金)晴れ
おやじ山の春2022(魚沼の風景)
 飲水が残り少なくなり、朝早く起きて鋸山登山口近くの湧き水を汲みに行く。ペットボトル18本と4リットルの水タンク2つで合計44リットル。これをネコ(一輪車)に一気に積んで見晴らし広場から小屋まで運んだ。朝から大汗をかく。

 それで今日はゆっくりしようと、大湯温泉に出かけることにした。先ずは久々に「いろりじねん」に寄って昼飯を、と思いきや・・・残念、店が閉まっている。それで大湯公園内にある交流センター「ユピオ」で一風呂浴びて、と思いきや・・・ここも休業である。大型連休が終わって、どこもかしこも振替え休業らしい。ようやく温泉街で開いている食堂を見つけて腹を満たした。

 山への帰り道、魚野川の橋の上から越後三山を望む。うっとりするほどの風景が今日の空振りをチャラにしてくれた。

2022年5月7日(土)晴れ
おやじ山の春2022(アズマヒキガエルの卵)
 朝食の片付けが終えた頃、Nさんがニコニコ顔で「おッはよう、ございま~ス!」とやってきた。最近は日が高くなって暑くなる前に三ノ峠山辺りまで登って来るらしく、今朝もその帰りかも知れない。不思議と俺が苦手なは虫類や両生類に(他の昆虫類にもだが)並々ならぬ興味があって、おやじ山に来ると、先ずはおやじ池を覗き込む。「ヘビさんは居ないか?カエルさんはどうかな?」とワクワク顔で観察するのである。

 「下の池でアズマヒキガエルがいっぱい卵産んでるよ」と伝えると、早速「見に行って来る」と反応した。棒きれで釣り上げて「わ~!すご~い!」と喜んでいる。俺は、「気持ち、わる~い!」。

 Nさんが帰ってから山菜山に入った。右の尾根に取りつき、ウドとワラビ、そして今期最後のゼンマイを採った。斜面の草丈も徐々に猛々しくなって、この山でのシーズンもそろそろ終わりである。 斜面に腰を下ろして、長岡の街並みを惜しむように眺め続けていた。

2022年5月9日(月)晴れ、朝晩冷える
おやじ山の春2022(初ワラビ採り)
 おやじは、「タニウツギが咲いたら、ワラビ採りが始まるよ」とよく言っていた。長岡の山菜名人は「フジの花が咲いたらワラビ採り」とも言う。先日から谷向こうの斜面で、大木に絡みついたフジの花群が目立つようになり、おやじ山でもタニウツギの赤い蕾が弾け始めた。いよいよワラビシーズン到来である。(左写真:フジとタニウツギ 5/5と5/9撮影)

 それで今朝早く小屋を出て、6時半には「水穴」に入った。ここでは、コゴミの群生の中に柔らかくて太い良質のワラビが出るのである。まだ出始めで収量は思った程でない。それで峰を越えて北側の斜面に移動し、ウド採りをする。

 
水穴のコゴミの群落        水穴から鋸山を望む    黄土から長岡の街並みを見る

 水穴を出てから三ノ峠直下の「黄土」に入った。ここも小さい時からおやじに何度も連れて来られた山菜場である。黄土に踏み入った途端、太いマムシに出会って、思わず「わ~ッ!!」と大声で叫んでしまった。クマも蜘蛛も、イノシシもサルもカモシカも全然平気だが、ヘビだけはダメである。見ると必ず大声が出てしまう。回りに人が居ると、俺の叫び声を聞いて「どんな大事件が起こったのか!」とビックリするのである。

 黄土での収穫も思わしくなかったが、水穴の分も含め、初物で塩漬けする程度の量は採れた。

 今日は晴れたにもかかわらず、朝晩と冷え込んだ。夜は風の小屋でストーブを焚いた。
2022年5月13日(金)曇り
おやじ山の春2022(フクロウ、モリアオガエル、四十雀)
 昨日(12日)から、フクロウ巣箱の近くの杉の木に親フクロウが止まっている。昨日は頻りに毛づくろいをしていたので、巣箱で子育てをしていた雌フクロウが出て来たのだと思う。いよいよ子フクロウに巣立ちを促す時期が来たのだろうか。産卵からおよそ2ヶ月である。

 おやじ小屋の前のコナラに掛けた巣箱では、四十雀が頻りに出入りしていた。おやじ山の鳥たちもなかなか忙しくなってきた。(2年前に来たアカショウビンの姿が見えないのが寂しいけど・・・)
 
 そして今日の午後3時、おやじ池ではモリアオガエルが産卵した。たまたまKさんも来ていて、「昼のモリアオガエルの産卵、珍しいね」と言いながら興味深く観察した。

 おやじ小屋の雨漏りが激しくなって、仕方無く屋根全体をブルーシートで覆う。そのうち大がかりな改修工事を考えなければ・・・。

(写真は健介さん撮影)
2022年5月16日(月)曇り・晴れ
おやじ山の春2022(おやじ山同窓会)
 新潟県で最古の歴史を誇る(明治5年開校)長岡高校の同級生たちが俺の山に来るようになって既に10年以上が過ぎた。50才の年に幹事役を任される「旧制長岡中学・長岡高校同窓会・東京支部総会」を契機に、何十年ぶりに同級生達と顔合わせしたのがきっかけである。18才で高校を卒業して東京に出て、そのまま首都圏で居を構えた連中で、古き若き当時のマドンナK女史の呼びかけに引っかけられて春・秋年2回のおやじ山ツアーが始まり、いつしか地元の同級生達も加わる恒例行事となった。

 昨日はその前夜祭で、東京組5人と俺を入れた長岡組6人の11名が野沢温泉ホテルに集合した。東京組は車2台を連ね、途中小諸城址・懐古園や上田の戦没画学生慰霊美術館「無言館」を見学してのホテル入りだった。無言館は今まで俺が2度訪ねていたく感動し涙したところで、信州回りで来るなら是非寄るように、と皆に勧めていた。
(写真は野沢温泉ホテルでの前夜祭。青柳君撮影)
 前夜の大宴会のほとぼりが冷めぬまま、10人の猛者連中(内女性はKさんとFさん)を引き連れておやじ山入りした。既におやじ山倶楽部のKさん、Nさんが控えてくれていて、Nさんからはお手製のニシンと筍料理が差し入れられた。山ではその他に、昨日早朝から仕込んでおいたゼンマイと車麩料理、塩漬けワラビの戻し、けんちん汁などを振る舞ったが、概ね好評だったように思う。

 最後に、おやじ山テーマソング「故郷(ふるさと)」を皆で高らかに斉唱して山を下りた。麓の駐車場で東京組と手を振って別れ、伊豆まで帰るという旧マドンナKさんを長岡駅まで送るなどして、山に戻った。一気に一人になって、やっぱり寂しかった。
2022年5月17日(火)曇り
おやじ山の春2022(野の花館)
 新潟県南魚沼市(旧塩沢町)にある「野の花館」に、おやじ山に自生する杜鵑蘭(トケンラン)を毎年届けて5年目になる。野の花館は水彩画の外山康雄画伯のギャラリーで、四季折々の実物大の山野草の絵と、その一枚一枚の絵の前には同種の生花か鉢植えがセットで飾られてある。

 きっかけはその前年の秋頃だったか(?)、日赤町のSさんご夫婦と一緒に魚沼地方をドライブ旅行した際、野の花館を見学したことがあるという花好きの奥さんから誘われて立ち寄ったのが最初だった。その時、初対面(・・・だと思った)の外山画伯と和やかに花談義をさせていただいたが、スマホ写真を見せながらおやじ山に絶滅危惧種のトケンランの群落地があることを紹介すると、大いに興味を示され、「是非絵に描きたい」とのことだった。

 その後、花時期近くなって群落の中から2,3株掘り採ってお届けした数日後、「トケンラン、見事に咲きましたよ!絵に描きましたので是非来て下さい」と、氏からの電話があった。静かな印象だった画伯の、少し浮き立つような率直な電話の声を聞いて、本当に嬉しかった。

 実は、もうかなり昔の何十年も前のことだが、間違いなく若かりし時の画伯と一度会っていた。場所は栃尾の「杜々(とど)の森」公園にある無料休憩所である。人気のない園内をぶらついて、一息いれようと休憩所に入った。中もガランと静まり返って人影もない・・・と見ると、会議用の長テーブルに屈み込んで絵を描いている人がいた。目の前に置かれた野草の絵である。その時のお話で、山野草を実物大の大きさで忠実に写し描くのが自分の絵だと説明されて、確かな記憶として残っていた。

 今日はおやじ山倶楽部のKさんとNさんを誘って、一緒に野の花館に杜鵑蘭を届けた。いつものようにニコニコと出迎えを受け、3人で画伯の説明を受けながら館内を回った。そしていつも通り、野の花がデザインされた美しいカップに注がれた香り高いコーヒーをご馳走になりながら、穏やかな氏の話しに耳を傾けていた。

 帰り際に、失礼も顧みずに、氏と一緒に記念撮影をさせてもらった。それから「また来年、杜鵑蘭を届けに来ます」と言ってから、思わずまた氏に駆け寄って手を握り、「どうかずっとお元気でいてくださいね」と言葉が出てしまった。Sさんから紹介されて以来、今まで何度となく氏と会っていたが、今日のように氏との別れが切なく、寂しく感じた事は無かった。何故だったのか、分からない。
 
 南魚沼からは大湯温泉に向かい、「いろりじねん」で少し遅い昼食を摂ってから長岡に帰った。KさんとNさんは「いろりじねん」は初めてで、ここでの山野草料理に大いに満足した様子で、お連れした甲斐があったと嬉しかった。

(写真は健介さん撮影)
 
2022年5月18日(水)爽やかな晴れ
おやじ山の春2022(協定地作業)
 長岡市の自然観察林のうち、おやじ山に隣接する約1.5ヘクタールを長岡市と協定を結んで整備している。今年で2年目であるが、長い間手つかずの荒れ放題の市有地で、見るに見かねておやじ山倶楽部で施業を買って出たわけである

 今日はその定例作業日で、いつものメンバー5人が来てくれた。幸い今日は爽やかな春日となって、Aゾーンのおやじ山に隣接する雑木林の藪払い、Bゾーンの作業道作りと、さすが手慣れた連中で随分と捗った。

 「お疲れさ~ん!」午後2時に作業を切り上げた。
 皆をおやじ山の入口で見送ったあと、一人デッキで酒を飲む。昨日外山画伯から頂戴した塩沢の銘酒である。その1本の瓶のラベルには、次の文章が書かれていた。

 このお酒によって豊かな時間を
 お過ごしいただく事が
 新たな一歩を踏み出す
 エネルギーとなることを願います


 さすがの高級酒に盃が進んでふらふらになり、新たな一歩を踏み出すとデッキから転げ落ちそうである。
 
2022年5月20日(金)曇り
おやじ山の春2022(Yさん家族の来訪
 午前中、暑くなる前にと、カタクリの丘の北側に生えている杉の木を、チェーンソーで2本伐倒する。これで三ノ峠山へ登るブナ平ルートの尾根が見渡せるようになり、スッキリした。

 一仕事終えて風の小屋で休んでいると、「コンニチワ~!」と遠くの方から声がして、窓から覗くと3人組がニコニコと手を振ってやってきた。Yさんご夫婦と娘さんのMさんである。Mさんは帰国間もない頃にも1度訪ねて来てくれて、今回で2回目である。

 Mさんは米国で活躍するジャズピアニスト・作曲家で、新型コロナの影響で長岡の実家に一時帰国した。そして現在、新潟を拠点に各地でライブ活動を精力的に続けて、チケットは軒並み完売という。

 今回もYさん家族におやじ山の風景を案内して回った後、風の小屋前のベンチでYさん差し入れの弁当を広げた。「Mさんはワラビなど食べられますか?」と、長い米国での食習慣を気にして尋ねてみると、「はい、ワラビは好きです」とニッコリと返事が返ってきた。それで水穴で採ったワラビを(塩漬ワラビを戻したもの。鰹節と醤油を少し垂らして食べる)お出ししたが、「ふるさとの味ですね」と美味しそうに食べてくれた。
(写真はYさん家族。真中がMさん)
 夜、酒を片手にスマホにダウンロードしたジャズを聴く。(Mさんのではないけど)どうも日本酒だと雰囲気がイマイチで、ウィスキー、何処かに残ってなかったかなぁ・・・?
「ジャズにはウィスキーがよく似合う」(越後の酒呑童子)
2022年5月21日(土)曇り
おやじ山の春2022(子フクロウの巣立ちとKさん親子の来山)
 午前5時半、風の小屋の窓からフクロウ巣箱を眺めると・・・「おッ!」、子フクロウが顔を出している。ようやく巣立ちである。小屋を出て親フクロウは?と探すと、巣箱から少し離れた若杉の森に止まって、子フクロウを見守っている様子である。巣箱に近寄って子フクロウに「ホッホッ!」と呼びかけると、俺の方をジィ~と見下ろして、俺が移動する度に首をぐるりと回して「このヒト、誰だろう?」という表情で顔で追ってくる。全く、可愛くって仕方がない。スマホで写真を撮って、おやじ山倶楽部の仲間たちと長岡科学博物館のS女史に写メールする。

 午前中にKさんと娘さんのNさんが一緒に来た。子フクロウを見てから、おやじ小屋の前にあるコナラの木に架けた巣箱に今年も四十雀が出入りしている様子なので、自作のヘビ返しを取り付けてくれた。毎年この巣箱では四十雀が営巣するが、「そろそろ・・・」という時期になるとアオダイショウが巣箱を襲って卵を呑み込んでしまうのである。Kさん親子は半透明のプラスチックで作った逆さ傘をコナラの幹にぐるり回して取り付け、立派な出来栄えである。

 親子は帰り際に再びフクロウ巣箱を見上げて子フクロウに挨拶していたが、Nさんに「フクロウを見ると幸せになるってよ」と言うと、「本当ですか?」とニッコリ頷いていた。

 S女史からは「今日は子どもの運動会なので、終わってから二人でフクロウさん見に行きま~す!」と朝一のメールだったが、午後のメールで、「子どもが運動会で疲れたと言って・・・」と残念がっていた。

 
子フクロウの巣立ち                        kさん親子でヘビ返し完成!
 
2022年5月24日(火)晴れ
おやじ山の春2022(Oさんの来山)
 朝5時、フクロウ巣箱を眺めると、まだ子フクロウが居る。「巣立った筈なのに?」と巣箱に近寄ってよくよく見ると、先日の個体よりは体が白くて少し小さい。2羽目の巣立ちである。(右写真:2羽目の子フクロウ)

 今日は昔からの友人Oさんが新幹線で来る予定で、その前にと朝早く「黄土」に入った。黄土もガキの頃におやじに連れて行かれた山菜場で、質の良いワラビが採れる俺のホームグランドである。既に山菜シーズンも終盤で、今年の採り納めの気持ちでワラビを摘んだ。
(左写真:草深くなった「黄土」。山菜シーズン終わる)

 午前中の新幹線で来たOさんを長岡駅で出迎え、見晴らし広場まで来ると、地元の山仲間のNさん、Yさんが待っていた。Oさんは脳梗塞を患った後のリハビリ中の身体で、お二人が丁寧にOさんをサポートし細々と気遣いながらおやじ山まで連れて行ってくれた。

 午後からはSさん、K子さんも来てくれて、皆で談笑しながらの和やかな時間を過ごした。
 午後3時前、皆で下山してOさんを宿まで送る。いつもいつもそうなのだが、俺の友だちをことごとく自からの友人同様に扱い、接してくれる地元の仲間たちに、心から「ありがとネ~ッ!」と感謝でいっぱいである。
(右写真:風の小屋に夕日が差し込んで、燃えるように染まる)
2022年5月27日(金)午前猛烈な雨
おやじ山の春2022(トケンランと山本五十六のまんじゅう)
 昨日は3羽目の子フクロウが巣箱から顔を出していたが、今朝見ると、もはや姿が見えない。無事に巣立っただろうか?例年より10日ほど遅い子フクロウの巣立ちだった。風の小屋の窓から子育てを終えて空になった巣箱をぼんやりと眺める。やはりちょっと淋しかった。

 25日に絶滅危惧種のトケンラン群落の2株ほどに、チラホラと花穂の蕾が弾けて初咲きとなったが、今日はその株も満開となった。いよいよこれからがトケンランの盛期で楽しみである。

 今日はまだ早い時間にTさんが山に来た。「多分珍しがると思って・・・」と、差し入れの紙袋を手渡されたが、まだほの温かい。長岡の老舗「川西屋」でできたてほやほやの塩小豆まんじゅうを買って来たという。甘いものが少ない時代、長岡庶民のおやつとして食べられていた名物まんじゅうである。我が高校(旧制長岡中学)の大先輩山本五十六の好物で、何とこれを水まんじゅうにして食っていたという。
 
ガブリ食らいつくと、随分昔の、すこししょっぱい、何とも懐かしい味だった。