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2022年11月14日(月)曇り
山を下りました
 11月7日に山を下りました。
 この日、地元長岡の山仲間達がおやじ山に集まってくれて、皆で冬仕舞いをしてくれました。おやじ沢から水を引いている受水バケツやホースを収納し、ポンプやドラム缶風呂の片付け、おやじ小屋と風の小屋テラスの冬囲いなど。そして最後におやじ小屋、風の小屋を閉めて皆と一緒に山を下りました。

 今回の山入は8月22日でした。そして11月7日の下山まで78日間の山暮らしでした。この間、森林施業はもとより、いつもながらの俺の山中での長期滞在を支えてくれた仲間の皆さんに、心からの感謝です。
 
 今回の滞在中のこもごもについては、「おやじ山の秋2022」で紹介しますが、11月7日に山を下りて藤沢の自宅に帰るまでに、4日ほどグズグズとフーテン旅を続けました。翌8日は冷たい雨でしたが、その後は帰宅日の11日まで好天が続いたせいもあり、何やら娑婆に戻るのが億劫というか煩わしい感じで、冬仕舞いの手伝いに来た(10月28日から)カミさんにとっては更に帰宅が延びて、いい迷惑だったかも知れません。

 帰路は千曲川沿いに117号線を走り、「道の駅千曲」で車中泊した翌朝は馬曲温泉「望郷の湯」に入りました。露天の湯に浸かりながら木島平の風景をしみじみ眺めて少し気持ちが吹っ切れ、さらに上田まで走って「無言館」を再び訪ねました。今回で3度目の訪問(1回目:2006年5月、2回目:2010年11月)になりますが、やはり「霜子」(中村萬平画)と「風景」(伊澤洋画)と「和子の像」(太田章画)の絵の前では胸がシーンとなって立ち去り難い思いでした。裏木戸を押して外に出て、館を半周して正面に戻ったのですが、晩秋の午後のやや弱くなった日差しの中にひっそりと佇む無言館こそ、この館にふさわしい風景なのだとつくづく感じました。

馬曲温泉「望郷の湯」          「無言館」(戦没画学生慰霊美術館)
 フーテン旅の最後に国宝松本城に立ち寄りました。折しも菊の展覧会が開催されていて、たくさんの観光客で賑わっていました。ここで娑婆の空気に心体を馴染ませて、一路藤沢の自宅へと向かったのです。

無言館表木戸前に立つ老フーテン    国宝松本城(白鳥がいた!)
 
2022年11月18日(金)晴れ
おやじ山の秋2022

おやじ山の秋2022

 コロナ第7波と記録的な猛暑に見舞われた今年の夏に一息ついたのが、やはり白露を迎えた98日頃からでした。気温が18℃位まで下がり、専用道脇の松林に、シーズン最初のきのこ「キンロク」(正式名はニンギョウタケ)が顔を出し、おやじ山のミョウガ畑に自慢の秋ミョウガが出始めました。ホダ木の秋シイタケもポツポツ出始めて、いそいそと飛騨コンロに炭を熾しては採りたてのキノコを焼いては酒の肴にする嬉しい日が続きました。

 910日の中秋の名月は忘れることができません。この日もぐっすり寝込んでいたはずでしたが、風の小屋の窓から差し込む月明かりに起こされ外に出ると、煌々とした満月が昼と見まがうほどに辺りを照らし、小屋向かいの山菜山の草木の葉っぱが、斜面いっぱいにピカピカと光り輝いていました。

 920日に台風14号が新潟県に上陸しました。各地に甚大な被害をもたらした大型台風でしたが、不思議と新潟県での被害はありませんでした。(前日に健介さんが山に来て、あれこれと細かな台風対策をしてくれました)むしろ台風のお陰で久々の良雨と冷涼な空気を運んでくれました。そして翌21日には気温が一気に12℃まで下がり、秋の季節が到来しました。加茂のまいたけ生産組合長の山崎さんから「気温が下がって、そろそろマイタケ発生しますよ」と電話を頂いたのはこの二日後です。

 102日(日)に恒例の猿倉岳トレッキングイベントが開催され、神奈川からKさんNさんが応援にきてくれて、地元のSさん、Yさん、そして自分の5人で参加者90人(一般市民60人、太田小中学校生徒・父兄30人)のリーダーを務めました。

 おやじ山の麓長岡市営スキー場で野外音楽コンサート「米百俵フェス」開催中の109日に、おやじ山マイタケ収穫祭を企画しました。春に植付けたマイタケホダ木の床に幼菌が発生してから連日(14回も5回も6回も)植付け場所の見回りをして成長具合をチェックする日が続き、早く収穫してケリをつけたかったのですが、集まった仲間から「収穫、まだ早いんじゃないの~?」「もっと大きくなるんじゃないの~?」とダメ出しがあって、その後も悩ましい毎日が続きました。

 マイタケの収穫は1012日から始まり17日までに合計10株採れました。最大の株は直径22センチありました。全て私と長岡の皆さんで食べてしまいましたが、まさに天然マイタケの味で実に美味しかったです。(神奈川、東京のおやじ山会員の皆さんにはスミマセン。どうか来年ご期待下さい)植付けたホダ
木から7年間収穫できるというので毎年が楽しみ(悩ましい?)です。

 1019日には皆できのこ狩りをしました。ジカボウ(ヌメリイグチ)、アマンダレ(ナラタケ)、カタビラ(スギヒラタケ)、ウラベニホテイシメジ、それにホダ木のシイタケなどの収穫がありました。しかし今年はキノコの不作年で、アミタケ、アマンダレなどポピュラーな地のキノコの発生が極端に少なかったようです。例年おやじ山会員の皆さんにお届けするナメコ収量もごく少なく、今年は残念ながら発送出来ませんでした。ごめんなさい。

 1028日はこの季節一番の秋晴れでしたが、一転、翌29日には氷雨が降り、この日からおやじ山が一気に秋の色に染まりました。そして日を追う毎に秋色が深まり、113日には紅葉のピークを迎えて、まさに錦繍の山風景となりました。ヤマモミジ・ヤマウルシの赤、ヤマノイモ・アオハダの黄、ブナの茶黄、ミツバアケビの紫、オオバクロモジのレモンイエロー、ウリハダカエデやミヤマガマズミのグラデーションと混色の美しさ。まったく自然界が織りなす美の競演にすっかり目と心を奪われてしまいました。

 113日の夜から冷たい雨が降りました。この日を境におやじ山が冬に向かったと感じました。手伝いに来たカミさんと二人で冬じまいの支度を始めたのもこの頃からでした。そして7日の下山日を迎えたのです。