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2021年7月4日(日)雨、曇り
イカ飯作り
 長岡の仲間(越後長岡おやじ山倶楽部)にNさんが居る。密かに「越後のレオナルド・ダ・ヴィンチ」と呼んでいる男である。山に関する事(山野草・樹木・山菜・薬草・ヘビ・マムシ・蛙・昆虫・ets)の博覧強記ぶりはもとより、木の枝を使った道具作りから、陶芸、お茶、お花、、和菓子作り、そして料理と、どれをとってもプロの領域で、斯道の達人と言わざるを得ない。
 「Nさんは何でも知ってるし、何でも出来ちゃうんだなあ~」と、一つ披露される度に感心すると、本人はいたく恐縮したそぶりで、「オ、オレはでも、こっちの方だけはからっきし分からんてェ」と、少しどもりながら小指を立てて照れ笑いするのである。
 
 先月、藤沢の自宅から、ちょっとした用事でNさんの家に電話した。そしたら同じ仲間のN子さんとKさんがいきなり電話口に出て、「今、Nさんの自宅にお呼ばれして、お手製のイカ飯を食べてるところです」と言う。日本海でスルメイカが獲れるこの時期になると、Nさんが決まって作る定番料理で、俺も何度かご馳走になったことがある。Nさんのイカ飯はまさに絶品料理で、羨ましくて仕方が無かった。

 それで早速、Nさんからイカ飯レシピを聞き出し、近くのスーパーに買い出しに行った。その日は鮮魚売り場にスルメイカはあったものの、立派な刺身用で高くて手が出ない。Nさんのイカの見立ては、「小ぶりで新鮮で安い」スルメイカである。

 Nさん流イカ飯レシピは以下の通りである。

(用意するもの)
圧力鍋
ペットボトルの上部を切って作った漏斗(ペット漏斗)
爪楊枝

(材料)
小ぶりで鮮度の良いスルメイカ10~15杯
米(餅米を混ぜても良い)
酒、醤油、昆布
(好みでサンショウ)

(作り方)
米を磨いで水に1時間ほど浸してから、ザルにとって水切りしておく
スルメイカを買ってきたら先ず鍋に湯を沸かし、イカのはらわたを抜いて鍋に放り込む
イカが茹だったら水に晒し、内部の滓や骨などを抜いてきれいにする
茹でたイカにペット漏斗を差し込み、ザルの米を入れる(7~8分程度、入れ過ぎないこと)
爪楊枝で口元を止める(A)

圧力鍋に昆布を敷いてAを並べる
ドボッと酒を注ぎ(モッタイナ~イ!と言ってケチらない)、醤油を注ぎ(入れ過ぎない。薄味がよい)、イカを茹でた煮汁を足す
(好みでサンショウを散らす)

圧力鍋で「14分」炊く(よろしいですか?「14分」ですよ)
圧力が下がったら大皿に取って、好みでサンショウの葉を載せる。「はい出来上がり!」

 6月30日に再びスーパーを覗いた。「あったあ~!」小ぶりな石川県産のスルメイカが手頃な値段で売っている。(1杯100円程度)特売品のシールも貼ってある。

 この日から3日間、1日目(16杯)の反省を2日目(12杯)で修復出来ず(失敗)、更に3日目の7月2日(12杯)再挑戦し、連日イカ飯を作りに作り、「それ食え、やれ食え」と家族で食べ続けてようやく、「今度は、うまかったね(笑)」と相成ったのである。3日間で合計スルメイカ40杯を消費した。

 しかしである!! 「越後のレオナルド・ダ・ヴィンチ」Nさんの味には到底及ばないのである(泣)。
 
2021年7月8日(木)曇り
真っ当な国への期待
 新型コロナとオリンピック騒ぎに翻弄される毎日である。感染再拡大が続く東京都では、今月11日期限の「まん延防止等重点措置」後は「緊急事態宣言」が発令される見通しとなった。
 しかしこれでも、日本はオリンピックは開催に向けて走り続けている。確か時の政権は「新型コロナウイルス感染症に打ち勝った証し」(2020年3月24日、阿倍前首相)や「東日本大震災の被災地が見事に復興を成し遂げた姿を世界に発信」(20年10月23日、菅首相)などと、開催意義を高らかに喧伝していた筈だが、今やすっかりその声も消え失せ、「ならばオリンピック中止か?」と思いきや、そうはならないのが不思議である。国民の政治不信と政権批判のガス抜きオリンピックで、全く国民をバカにした政治利用のオリンピック開催と断じざるを得ない。
 国民の雰囲気も、当初は「開催か中止か」の選択肢から、いつの間にか開催前提の「有観客か無観客か」の判断に絞り込まれて、もう「中止は論外」と後戻り出来ない空気になってしまった。「かつての太平洋戦争突入も、国民の意識はこうなって(誘導されて)行ったのかなあ」と重ね合わせて考えてしまった。クライマー達の自戒と最大の賞賛は「勇気をもって引き返すこと」だという。

 昨日の新聞に、左の一面広告が載った。唯一の戦争被爆国でありながら、国連で採択され世界50カ国以上の批准を得て、今年1月22日に発効された「核兵器禁止条約」に、いまだ日本政府が署名・批准しないことへの抗議広告である。これも 「我が国は、核保有国と非保有国との橋渡しに努める」などと御託を並べて批准しない日本政府に怒りを込めて、広告下のバーコードを読み取ってオンライン署名とカンパをした。
 早く真っ当な日本になって欲しいものである。
 
2021年7月12日(月)晴れ
クジラ汁
 つい先日、長岡のSさんから「ユウゴウ(夕顔の越後弁)が出たっけ、塩クジラと一緒に送ったよ~」と電話が来た。そして一昨日、ドサッと重い段ボール箱が宅配されて、開けるとユウゴウや塩クジラの他に、長岡名産の丸ナス、タマネギ、新ジャガ、ニンニクと、この時期の野菜がぎっしり詰め込んであった。

 郷里の長岡では、ユウゴウが出回るようになると、どの家でもいそいそと塩クジラと一緒に買い求め、クジラ汁を作る習わしがあった。夏バテ防止の郷土のスタミナ料理である。

 それで早速、昨日クジラ汁を作った。作り方は、以下のあんばいである。
(下ごしらえ)
●塩クジラは3センチほどに切って、サッと湯通ししてザルに上げておく。
●ユウゴウの皮をむき、乱切りにする
●丸なすはピーラーで皮をむき(虎刈りでよい)乱切りにして水に晒しておく
●新ジャガも川をむき、乱切りする

(料理方法)
●鍋に湯を沸かして、先ずユウゴウ、丸ナス、新ジャガを煮る
●ジャガイモが煮えた頃を見計らって、塩クジラを入れる
●塩クジラが煮えたら味噌で味付けする→「はい、出来上がり!」

 お椀に盛ったら一味唐辛子を振りかけて食べてもよい。多めに作って、残りを冷やっ汁で食べれば、涼味もあってまさに夏ぴったりの料理となる。

2021年7月20日(火)晴れ
夏の風景
 7月16日に関東甲信地方の梅雨明けが報じられて、5日目である。全きの夏男を自認していて、毎年この時期になると嬉しくて仕方がない筈だが、2週間程前からひどい筋肉痛に悩まされていた。
 先ず右足の腿の付け根が痛んで、歩行がままならなくなった。更に追い打ちをかけるように、10日ほど前から首筋に痛みが出て首が回らなくなった。朝目が覚めると、腿と首の患部の筋肉が強ばって、布団から立ち上がるのが実に難儀かった。

 そのうち治ると高を括っているうちに、首の痛みが肩までおりて来て、微熱も出始めてようやく昨日整形外科に駆け込んだ。「先生、首が痛くて回らないです。試しに1万円札を患部に貼って見たけど、やっぱり首が回らない。万札1枚だけじゃあ、やっぱり効き目は無いんでしょうか?」とT院長先生に訊いてみた。「そうですかあ」と先生はニコニコと応じながら、レントゲン写真を示して説明してくれた。結論的には、昔からの骨の不具合箇所が、老化に伴って顕在化して痛みを引き起こしたらしい。そして薬を貰って飲んだ途端に、みるみる調子が回復に向かってきた。(我慢していないで、もっと早く医者に行けばよかった)それにしても、やわな身体になったものだと、何とも情けない気分である。

 昨日は病院から帰って、カミさんの梅干し天日干しの手伝いをした。ウチの人は、病人でもこき使うのである。
 そして今日は、随分痛みも取れて、カンカン照りのなかをリハビリのウォーキングをした。雄雌2羽のキアゲハが、風に翻弄されながら絡み合って飛んでいたり、炎天下の松葉ボタンに遠い昔の夏の風景を重ねたりと、「やっぱり俺は夏が好きだなあ」とようやく感じ始めた今日この頃である。