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2019年11月14日(木)曇り
おやじ山の秋2019 夢と希望を託す小屋
 「風の小屋」の落成式?(本来の落成にはほど遠い建築途中ですが・・・)を無事に終えた翌11月11日(月)に山を下りて、一昨日(12日)藤沢の自宅に帰った。この秋の入山が9月5日だったから68日間のおやじ山暮らしだった。

 例年の秋の山暮らしは、季節の移ろいを全身でゆったりと感じながらのんびり過ごすのが常だったが、今回はなかなかどうして、いささか気忙しく過ごした。理由は、(ゲストハウス、第二おやじ小屋改め)「風の小屋」建築で足りない頭脳と、少ない体力を駆使してバタバタと過ごしたせいである。
 それも通りで、思い起こせば、数年間(5年や10年ではない!)の構想後にようやく腰を上げて、ゲストハウス建築の候補地(現在の場所)に初鍬を入れたのが2016年の8月。その翌年(2017年)の6月になってから建屋の土台の穴掘りを開始し、更にその1年後(つまり昨年)の5月末にようやく建屋の柱を立て、何とか昨年内にトタン屋根を葺くまでに漕ぎつけた。
 そして、「今年こそは完成!」と周囲の期待を背負って春の山入り当初は力んでみたものの、山暮らしを続けるうちに「あれがあり」「これがあり」とあちこち気が散って捗らず、さらに今夏は真夏日、猛暑日と異常気象にいささかのダメージを受け、気が付けば秋もどんどん過ぎて行った。
 ある友人からは、「バルセロナのサグラダ・ファミリアだって、まだあの程度だからね」(着工から既に137年か?完成までに300年は要すると言われている)と老骨を気遣った慰め言葉に、「俺は越後のガウディになる!」と気負ったものの、やっぱり焦ってしまうのである。

 さて、今年の秋のおやじ山は、夏の気配がいつまでも残って引く様子がなかった。広葉樹の葉っぱもさっぱり色づかず、多くの樹木で猛々しい夏の蒼さが10月末まで残っていた。
 山のキノコにも異変が起きた。多分今までに無い不作の年だった。地元でアマンダレと呼ばれるナラタケ類が、シーズン初めに短期間発生しただけで、シメジ類はもとより、イグチ科やフウセンタケ科の馴染のキノコ類も殆ど発生しなかった。
 しかしそんな中で、おやじがキンロクと呼んだニンギョウタケだけは大収穫だった。キノコシーズンの先頭を切って出るキノコだが、シーズンの終盤近くまで連続して発生したのは今までに無かった現象である。
 おやじ山で栽培しているナメコも、嬉しいことに例年と変わらず、お世話になっている仲間や友人達にお届けすることができた。

 山の施業や小屋造りの合間に、恒例となった地元のイベントへの参加や友人や親戚同士の楽しい交流もあった。
 9月には千楽の会(朝日酒造の日本酒塾OB会)と蓬平の棚田での稲刈りをしたり、長岡市民と太田小中学校の子ども達と一緒に猿倉岳トレッキングや森のコンサートを楽しみ、10月には高校時代のミニ同窓会を例年通りおやじ山で催し、長年続けている年一回のいとこ会で今年は福島に遠征し、11月1日には、麓の栖吉小学校4年生69名の野外授業の先生役も務めた。楽しかった。

 そして今回のおやじ山滞在のフィナーレが、昨年結成した越後長岡おやじ山倶楽部の臨時総会と懇親会を悠久山湯元館で開催し(11月9日、会員16名出席)、翌10日は会員19名の出席を得て、おやじ山で盛大に「風の小屋」落成式を行うことが出来た。

 おやじ山が数多くの素晴らしい仲間を呼び寄せてくれた。そしていつかは風の小屋が、おやじ山に集うかけがえのない仲間達のオアシスとなるように、夢と希望を託すのである。


Tさんからお祝いの生花が届いた

総勢19名の盛大な式典となった
 
風の小屋落成式(11月10日)
 
風の小屋看板除幕式
 
Kさんからの祝い酒を玄関に撒いて小屋に入る

伊豆のKさん製作の火棚を見る

長岡のSさんから五目おこわが届き、熱々のナメコ汁で食す
今年はキンロクの当たり年だった
キャンプ場に発生した千本シメジ
 
カスミザクラの倒木に大量のナメコが生えた(10月31日)

 嬉しいナメコの収穫(10月31日)
 
高校時代の同級生達と恒例のミニ同窓会
東山ファミリーランドキャンプ場にて(10月11日)
 
富山からIさんご夫婦が来て下さった(10月27日)

蓬平Nさん主催の「ふるさと研究会」棚田稲刈り(9月21日)

 長岡市小国町八王子集落主催の八石山登山に参加(11月2日)

緑の森の会主催の猿倉岳秋のトレッキング(9月29日)

棚田米の稲架掛け(9月21日)

猿倉岳天空のブナ林で「大田小中学校森のコンサート」(9月29日)

栖吉小学校4年生69名の野外授業。
東山ファミリーランド自然観察林にて(11月1日)

東山から昇る仲秋の名月(9月13日) 

 夏雲と秋の雲のせめぎ合いか?(10月9日) 
2019年11月27日(水)雨
おやじ山再び(おやじ小屋の雪囲い)
 11月20日に再びおやじ山に戻った。23日の勤労感謝の日がおやじの命日で、毎年この時期に墓参りを兼ねておやじ小屋の雪囲いをして小屋閉めするのが常になっていた。今年も有難いことに、山施業を手伝ってくれる長岡の仲間たちが駆けつけてくれて、トントン拍子に仕事が捗った。

 それにしても今回は好天に恵まれて絶好の作業日和だった。更につい10日前に山を下りた時とは打って変わって、秋の陽射しを受けた黄葉が美しく照り映えていた。山入り当初の20日、21日は冬の寒さだったが、22日からの3日間は爽やかな小春日和と汗ばむほどの陽気になり、一気に作業が進んで無事に雪囲いを終えることが出来た。

 山を下りる25日は、霧に包まれた薄暗い森に氷雨が降りしきる侘びしげな天気になったが、傘を差しておやじ山をゆっくり一巡し、最後に小屋の入口を衝立で囲ってロープで縛りおやじ小屋を閉じた。そして、「ありがとう・ございましたあ~!」と小屋に向かって深々と頭を下げると、やっぱり胸が詰まって涙がこぼれそうになった。

 明日28日からはまた、Kさんと一緒に全国の山を巡る仕事に出る。健康で元気でいればこそ、と感謝しているのである。