カタクリ(1)  片栗  (ユリ科)

おやじ山の自慢の一つは、このカタクリの花である。
雪が解けた山にポカポカと春の陽がそそぎ始めると、それこそ辺り一面がカタクリの花で埋まる。
おやじ小屋のすぐ上に「カタクリの丘」と名づけた、とりわけ株の群生した台地がある。
遠い昔、おやじに連れられて山菜採りをした帰り、いつもこの場所で花の絨毯にどっかりと腰を下ろして、
親子二人で握り飯を頬張った懐かしい思い出がある。






さらに一言
古名は「カタカゴ」、越後では「カタコ」の名もある。鱗茎から良質のデンプン(カタクリ粉)がとれる。
「片栗」は葉がクリの子葉の1片に似ているからという。
山野草の球根の多くは、野ネズミ食害の防衛作戦として根に毒を持つが、おいしい鱗茎を持つカタクリには毒などない。
そのかわり、驚くほど根が深い。根を地中深く下ろすことで、野ネズミの食害を防いでいるのである。
小さな種はアリによって運ばれるので、せいぜい5m以内が1株の繁殖分布範囲となる。その種の発芽から開花まで、何と8年かかると言われている。
そんなことを思うと、無造作に摘み採っておひたしにして食べるのも気が引けてしまう。(越後ではカタクリを山菜として食べる)