秋の山     コナラ   小楢  (ブナ科)

 越後の里山を代表する樹種である。しかし今、この里山が荒れ果てている。かつてはコナラやミ
ズナラの木を伐って薪や炭として利用し、また落葉を集めて農業用の堆肥にしてきた。
これが昭和30年代に入ると薪や炭がガスや石油に切り替わる燃料革命が起き、さらに堆肥の代り
に化学肥料が使われるようになった。それで今まで利用されてきた里山が放置されてしまったので
ある。
 伐採されたコナラは萌芽更新によって強い若木に成長するが、今かつての役目も無く伐られずに
大木となったコナラの立ち枯れが目立って多くなった。コナラの森の林床もすっかり藪化し、荒れ
て陽の光も差し込まなくなってしまった。
「うさぎ追いしかのやま〜♪」と歌ったかつての美しい里山の再生に微力を尽くしたいと思ってい
る。

さらに一言
2005年はドングリが大量に実った「ナラ実年」だった。翌2006年は全国的に全くと言っていいほど実生りが無かった。そして2007年は、夏の猛暑で殆どがシイナになって落果した。そして2008年は、まあまあの実生り年だった。

左の写真は2005年秋のドングリ
(大量結実した)
右の写真は2007年秋のドングリ
(未成熟のシイナで落果した)
4,5年ほど前から目立ち始めた「ナラ枯れ病」が2010年にはピークに達した。
おやじ山のあちこちで赤っ茶けたコナラやミズナラが無惨な姿を晒していた。

<何故ナラが枯れるのか?>
カシノナガキクイムシという体長5mmほどの虫が、6月〜8月にかけてナラの幹に集団で穴をあけて内部に入り込み、トンネルを掘る。雌がトンネル内に自分の餌と幼虫の餌となる菌類を持ち込み、この菌類の一つに病原性を持つ「ナラ菌」がある。「ナラ菌」はトンネル内壁面からナラの樹幹全体に広がり、ナラは通水障害を起こして水分を吸収できず枯れてしまう。尚、雄は雌が掘った木屑(フラス)をせっせと外に運び出す役目。
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